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五輪トピックス

新体操の選手と監督…考え方の違いが興味深い

編集委員・三宅宏
  • 代表選手記者会見でポーズをとる5人。左から、横田葵子(きこ)、松原梨恵、杉本早裕吏(さゆり)、畠山愛理、熨斗谷(のしたに)さくら
    代表選手記者会見でポーズをとる5人。左から、横田葵子(きこ)、松原梨恵、杉本早裕吏(さゆり)、畠山愛理、熨斗谷(のしたに)さくら

 リオ五輪で初のメダル獲得を目指す新体操団体の日本代表(フェアリージャパン)は、厳しい選考レースを勝ち抜いた5人で構成されている。9人の強化選手から今回の5人に決まったのは、五輪開幕まで1か月を切った7月8日のことだった。9人は文字通り、寝食をともにしてきた仲間だけに、代表となった5人には「選ばれなかった人の分まで…」の思いが強い。一方で、山崎浩子監督の考え方は全く違っていた。

 新体操団体の強化選手は、毎年4月にメンバーが更新される。

 今年度の9人は12期生。メンバーになると、長期の合宿生活に入る。というより、実態は、山崎監督を含めた共同生活だ。近年は、東京の国立ナショナルセンターのほか、ロシアにも練習拠点を置いている。国内で、海外で、年度をまたいで選ばれ続けるメンバーはそれだけともに過ごす時間が長くなるわけで、どうしても情が移る。

 7月26日に行われた代表記者会見では、落選した仲間を思いやる発言が相次いだ。

 「9人分の気持ちをもって最後まで踊り切りたい」(杉本早裕吏)

 「9人で作り上げた演技なので、9人で踊っていると思う気持ちをもって、感謝の気持ちをしっかり伝えられる演技がしたい」(畠山愛理)

 中には、感極まって涙ぐむ選手もいた。

  • 山崎浩子監督
    山崎浩子監督

 一方、山崎監督の考え方はドライに徹している。

 「(選ばれなかった4人は)悔しいでしょうが、競技だから。選ばれた人が選ばれなかった人を思うとか、ないと思う。サッカーで代表になった人がなれなかった人に対して、何か思うかって、思わないですよ。ドライに受け止めなければいけないと思う」

 「(落選者には伝えにくかったかの問いに)全然伝えにくくないです。競技なので。1人1人に対する『情』を持ちすぎると、競技をやってられない。調子いいものが行く、強い者が行く。当たり前のことだから。あなたたちは行けます、あなたたちは行けません、ということです」

 キーワードは、何度も出てくる「競技」だろうか。山崎監督は新体操個人で、日本を引っ張ってきた先駆者だ。1984年ロス五輪では個人総合で8位に入賞している。「競技」への意識は強い。1人で道を切り開いてきた身としては、今の選手たちの仲良しぶりは、時に、甘っちょろく映るのかもしれない。

 団体種目だけに、他人を思いやる心が競技に生きることもあるだろう。一方で、「情は捨てろ」という山崎監督の主張も理解できる。正解をひとつに絞るのは難しい。

 団体の予選は日本時間の20日夜から始まる。

2016年08月18日 17時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun