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    企画・連載

    [平昌へ 期待のエース]キングへ「動き」追求…渡部暁斗(2018年1月5日)

    ◇ノルディックスキー複合 渡部暁斗 29(北野建設)

    • W杯複合個人で優勝した渡部暁斗の後半距離(昨年11月、フィンランド・ルカで)=若杉和希撮影
      W杯複合個人で優勝した渡部暁斗の後半距離(昨年11月、フィンランド・ルカで)=若杉和希撮影

     ◆距離盤石 王者置き去り

     瞬発力が求められるジャンプと、持久力が必要な距離。相反する能力を高い次元で兼ね備えた最強の複合選手を「キング・オブ・スキー」と呼ぶ。渡部暁に言わせれば、ワールドカップ(W杯)総合優勝、五輪の金メダルを獲得して初めて、自他共に認める王様になり得るらしい。その称号を懸けたシーズンに挑んでいる。

     その意味で、これまでとは一味違う強さをライバルたちの目に焼きつけた今季のW杯序盤戦だったに違いない。

     昨年11月25日にフィンランド・ルカで行われたW杯個人第2戦。前半飛躍でトップに立つと、後半距離は終始独走。直前の練習で転倒し、左の(ろく)軟骨が折れていたにもかかわらず、悠々と今季初勝利、通算10勝目を挙げた。

     年をまたいで行われるW杯で、過去9勝はいずれも2、3月に挙げていた。「ほかの選手が疲れてきた時じゃないと勝てないというコンプレックスみたいなものが僕の中で引っかかっていた」と言う。今季は初めてその壁をぶち破った。

     鍵は、技術改良を加えたジャンプと距離の走力が、かみ合い始めたことだ。

     ジャンプは踏み切りの瞬間に膝が前に沈み込む無駄な動作をなくし、効率良く力を踏み切り台に伝える練習を、夏場から陸上トレーニングと実際のジャンプ練習で繰り返してきた。

     距離は大きな自信をつかんだ試合がある。昨年3月のオスロでのW杯個人第20戦。エリック・フレンツェル(独)を終盤のスパートで突き放して優勝した。相手はW杯5季連続総合王者で、ソチ五輪ノーマルヒルの金メダリスト。絶対王者をねじ伏せ、「壁を破った瞬間だった」と振り返る。

     北野建設スキー部の荻原健司ゼネラルマネジャーは、「複合において距離は心理戦。走力のある渡部暁斗が、どこの位置につけているかは、ほかの選手にとって大きな脅威というレベルまで来ている」と話す。自転車やヨガ、ボルダリングなど、あらゆるスポーツを通じ合理的な体の動かし方を追求してきた成果が、30歳を前にして実りつつある。

     五輪複合の個人で過去に頂点に立った日本選手はいない。ジャンプと距離。磨いてきた二つの力がかみ合った時、日本史上初の金メダルが見えてくる。(増田剛士)

     

    • 渡部暁斗選手
      渡部暁斗選手

     ◇わたべ・あきと 1988年生まれ。長野県白馬村出身。2014年ソチ五輪の個人ノーマルヒルで銀メダルを獲得した。世界選手権では09年に団体で金メダルに輝き、17年に個人ラージヒルで銀メダル。W杯は日本歴代2位の通算10勝をマークしている。1メートル73、60キロ。

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    2018年01月18日 11時39分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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    OARはロシアからの五輪選手
    日本の獲得メダル 4 5 4
    国別メダル
    1 norノルウェー 14 14 11
    2 gerドイツ 14 10 7
    3 canカナダ 11 8 10
    7 kor韓国 5 8 4
    11 jpn日本 4 5 4

    2/25 17:17

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