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スピードスケート

【スケート解説・女子500】外ノ池亜希の目…実績と自信、圧倒的な強さでつかんだ小平奈緒の金メダル

  • 3度目の五輪で悲願の金メダル達成。小平奈緒の力強い滑り(18日)
    3度目の五輪で悲願の金メダル達成。小平奈緒の力強い滑り(18日)

 出場選手中でただ1人の36秒台は、低地リンクではかなり良いタイムだ。しかも、500メートルの短距離で2位とコンマ4秒差(0秒39)もつけた。小平奈緒選手の圧倒的な勝利だった。

 いつもより早く構えたな--と思ったスタート時。右足がぴくっと動いたがフライングにはならず、幸運だった。動揺せずに飛び出せたであろう100メートルのラップ(10秒26)もまずまず。後半は大きく伸び伸びと滑り、インスタートからアウト上がりとなった最後のカーブでも、さらに加速するのではないかと思わせるほどの足の運び。スピードを殺さずにフィニッシュできた。

 対照的にイン上がりの李相花選手(韓国)は最終の小さいカーブの出口で膨らんで失速。この時点で勝負あり。最後のカーブが大きいか小さいかで選手の意識の持って行き方は違うものだと、改めて感じた。バックストレートでのトップスピードから入っていくからカーブの大小で遠心力も違う。小さいカーブを滑る時の方が、失敗しないようにあれこれ考えてしまうものなのだ。500メートルは平昌五輪から1本だけの一発勝負になり、インとアウトの差はそれほどないと思っていたが、やはり多少の影響はあるものなのだと思わされたライバル対決だった。

 表彰台を逃した前回ソチ五輪後にオランダに渡り、フォーム改良のヒントをつかんだことも小平選手には大きなプラスになった。以前は頭の位置が低く、丸く縮まって、スケート靴のエッジの先端で小さく滑っているという印象だったが、肩を上げて重心を下げるフォームに改良したことで重心が後ろに移り、エッジを長く使えるようになった。氷に効果的に力を伝えられるようになり、スピードが増した。

 女子1000メートルの日本記録保持者だった私は2006年の全日本距離別選手権を最後に現役引退した。当時20歳の小平選手はこの大会の1000メートルで初優勝している。私とはちょうど入れ替わりの巡りあわせで、一緒に滑ったこともあったはずだがあまり記憶がない。ただ、印象深いことがあった。固く締った雪の上を踏みしめて歩く時のような「ググッ、ググッ」というような音だ。エッジが氷に噛んだ時の音で、パワーがないとそういう音は出ない。てっきり男子選手かと思って音の聞こえた方を見たら、小平選手だったことを今でも覚えている。

 持ち前の脚力に、フォーム改良が奏功したから結果も出た。日本のスピード女子では初めての五輪金メダル。昨季からW杯で連勝街道を走ってきた実績と揺るぎない自信が大舞台で花開いた。

解説者プロフィル

外ノ池亜希(とのいけ・あき)1979年3月3日、長野県生まれ。18歳で出場した98年長野オリンピックから、ソルトレイクシティ、トリノと五輪3大会に出場。ソルトレイクシティ大会では女子1000メートルで当時の日本記録となる1分14秒6で7位入賞。

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2018年02月19日 09時05分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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OARはロシアからの五輪選手
日本の獲得メダル 4 5 4
国別メダル
1 norノルウェー 14 14 11
2 gerドイツ 14 10 7
3 canカナダ 11 8 10
7 kor韓国 5 8 4
11 jpn日本 4 5 4

2/25 17:17