サンクス、モニカ! 3人制バスケ男子日本代表を支える「熱すぎる通訳」
完了しました
3人制バスケットボール男子は、11月に開催国枠での東京オリンピック出場が決まり、選手たちの士気も上がってきた。その選手をマネジャーとして支える阿部
士気があがる

日本代表の強化合宿に参加した西野曜選手(21)は、「代表に残れば本当にオリンピックに出場できるところまできました。もうやるしかない、迷いはないですね。意識もすごく変わりました」と意気込みを語る。現在、専修大3年生で、5人制のバスケをやりながら3人制のプロチーム「BEEFMAN.EXE」(横浜)でも活躍する。「コートに入ったら年齢は関係ないです。チャンスは絶対に逃したくない」
強化合宿には、3人制の国内ランキング1位で3人制のプロチーム「TOKYO DIME.EXE」(東京・渋谷)でも活躍する落合知也選手(32)や、3人制でアメリカ代表経験もあるBリーグ・大阪エヴェッサ所属のブラウンアイラ選手(37)らが顔をそろえた。最終的には4人が日本代表に選ばれる。
オリンピック代表のサポート…夢を叶える

マネジャーの阿部さんが選手たちを支える代表のスタッフになったのは今年5月。「いつかはオリンピックのような国際舞台でチームのサポートができる仕事がしたいと思っていました」と言う。所属チーム・東京エクセレンスで、通訳とチームディレクターを務めているが、その活躍が評価された。
代表合宿では、練習中の時間を計測したりビデオ撮影をしたりするほか、ボール拾い、コートのモップがけなど、雑用全般を引き受けるのが主な活動。英語が堪能なため、通訳も手伝う。「選ばれるために必死にやっている選手をサポートすることにやりがいを感じます」と笑顔を見せる。
小中学校はバスケットボール、高校からチアリーディングに打ち込んだ。「アスリートになりたいと目指していたんですが、自分には才能がない」とあきらめ、選手をサポートする立場でスポーツに関わろうと、立教大スポーツウエルネス学科に進学し、スポーツの戦術分析などを学んだ。卒業後は放送業界でADをしていたが、「スポーツに関わる仕事をしたい。スポーツを通してみんなに笑顔を届けたい」と思い、2013年に東京エクセレンスに入社した。
最初は子どもたちにバスケットボールを教える教室のコーディネーターだったが、チケット、ファンクラブ、グッズ担当と仕事が増えていき、語学力を生かせる通訳の仕事もやるようになった。「代表スタッフの活動でチームを不在にすることもありますが、快く送り出してくれるチームには感謝しています」
熱すぎる通訳

東京エクセレンスの試合ではベンチで石田
試合中、熱い気持ちを表現することもある。その様子がファンのインスタグラムに投稿されて話題になったことも。阿部さんは「選手は一緒にいる時間が多く、家族みたいな存在。小学生の試合でお母さんが息子のプレーに熱くなっちゃうのと同じ。一緒に本気で戦っているとつい……」と照れ笑い。「選手を勇気付けたり、元気付けたりして、チームを盛り上げたいという気持ちもあります」と話す。
サンクス、サンクス、サンクス、サンクス、モニカ

阿部さんの働きについて、日本代表コーチのトーステン・ロイブルさんは、「熱心にやってくれるのでチームにとってプラス以外の何ものでもない。だから、何度も『サンクス』とお礼を言っている。彼女が頑張りすぎで、熱すぎて、燃え尽きちゃうんじゃないか心配なくらいだ」と評価している。
阿部さんに最後、「必ず聞かれるんです」という名前の由来について聞いてみた。
「海外でも通じるようにという理由です。吉川晃司さんのヒット曲『モニカ』との関係をよく聞かれますが、それはないです。母はクラシックの演奏家でその歌は知りませんでした」
コートの中で、外国籍のコーチや選手から「サンクス、モニカ」と言う声をかけられている。「海外で通じるように」という両親の願いも、今、かなえている。