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【ローザンヌ(スイス西部)=杉野謙太郎】国際オリンピック委員会(IOC)のアスリート委員会は、五輪期間中の選手の抗議行動を禁じるための指針をまとめた。政治的、宗教的、人種的な意思表明を許さない五輪憲章を補完するもので、競技会場や選手村での行動を禁じ、IOCや国際競技連盟、国内五輪委員会の処分対象となる行動の具体例も示した。2020年東京五輪から適用される。
指針では、メッセージを送るための、手を使ったり、膝をついたりするジェスチャーや、表彰式での抗議を禁じた。一方で、表現の自由を守るため、記者会見などメディアの取材に対する発言は認めた。IOCのトーマス・バッハ会長は10日にスイス・ローザンヌで行われた総会で、「IOCと五輪は政治的に中立でなければならない。指針を歓迎する」と語った。
16年リオデジャネイロ五輪では、男子マラソンで銀メダルを獲得したエチオピアのフェイサ・リレサ選手が両腕を頭上で交差させ、同国政府に抗議するポーズを取った。昨夏の水泳世界選手権では、男子400メートル自由形で優勝した孫楊選手(中国)がドーピング問題の渦中にあることから、2位の豪州選手が表彰台に上がることを拒否していた。