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メダル請負人・井村コーチのイマドキの若者指導法とは

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 東京オリンピックでメダル獲得が期待されるアーティスティックスイミング。日本代表に内定した8選手が東京都内で練習を行う様子が9日、報道機関に公開された。指導するのは「メダル請負人」と言われる井村雅代ヘッドコーチ(69)。3大会連続出場となるエースの乾友紀子選手(29)以外は20歳代前半の選手が中心だ。高校3年生もいる「イマドキの若者」をメダルに導くため、これまでとは違った方法で接しているという。それはどんな方法なのだろうか? (読売新聞オンライン 河合良昭)

「違うだろ!」ではなく、「うそばっかり」

映像を使いながら指導する井村ヘッドコーチ
映像を使いながら指導する井村ヘッドコーチ

 井村ヘッドコーチは、日本代表のコーチとして1984年ロサンゼルス大会から2004年アテネ大会まで6大会連続のメダル獲得を成し遂げた。08年の北京大会、12年のロンドン大会は中国代表ヘッドコーチとして中国代表のメダル獲得に貢献。日本代表ヘッドコーチに復帰後は、16年のリオデジャネイロ大会で再び日本代表にメダルをもたらした。種目がオリンピックの正式競技になってから、指導したチームがすべてメダルを獲得したことになり、まさに「メダル請負人」だ。

 プールサイドから関西弁で大きな声で指示を出すため、迫力があり、「厳しい」と思われがちだが、その指導は論理的。選手には演技の映像を見せながら、手の角度などを具体的に指示する。

 選手が演技を間違えたり、狙い通りにできたりしていないと「うそばっかり、うそばっかり」と早口で連呼する。「違う!」と大声で言うときもあるが、怒りの感情をぶつけるように「違うだろ!」などと絶叫したりはしない。頭ごなしの威圧感はなく、選手も()(しゅく)していない。「ここが違いますか」などとわからない点は聞き返し、確認していた。

選手を競わせない

チームは8人ぎりぎりの人数で練習している
チームは8人ぎりぎりの人数で練習している

 東京オリンピックの代表内定選手はチームの出場選手数と同じ8人。1人でも欠ければ練習に影響が出るが、あえてこの人数で練習しているという。

 「昔なら10人選べば、選手たちは『私が代表の8人の中に入るんだ』と他の選手に先んじようとしたが、今の子は競い合うのが苦手。私が落ちるんじゃないだろうかと(心配して精神的に)余計なエネルギーを使わせてしまう」と心理状態を分析。「実に面白くない若者。今の日本の若者の弱さ」としながらも、「あなたでいくから覚悟を決めてくださいとしたほうが力を発揮できる、絶対に強くなる」と判断したという。「私にしたらすごく優しい方法。でも強くなるなら何でもしてやろうと思った」と、この指導方法を選んだ理由を語る。

 しかし、条件も出した。「(選ばれた日から)病気もけがもする権利も資格もありません」

選手に合わせて自分が変わる

井村コーチの指示を聞く選手たち
井村コーチの指示を聞く選手たち

 エースの乾選手とデュエットを組む吉田萌(めぐむ)選手(24)は、まだ乾選手との技術差があり、結果などに左右されて気持ちの上下が激しく、指導は大変だったという。厳しい口調になったこともあったというが、自ら頭を冷やし指導方法を変えたという。

 「彼女は乾と違ってオリンピックが初めての選手。いらいらして、文句を言って、叱ってばかりではだめだと自分に言い聞かせました」と言う。

 しかし、それだけでは終わらない。「彼女一人を捕まえて、毎日、朝5時半から技術を教えています。そうすることで少しずつですが、彼女も自信を持ってきました」

 メダルを取るための練習は、選手だけではなく指導者にとっても「半端ない」。

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1017597 0 東京オリンピック 2020/01/24 12:20:00 2020/02/12 11:13:53 2020/02/12 11:13:53 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200116-OYT1I50054-T.jpg?type=thumbnail
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