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東京オリンピックのボクシング、村田諒太に「メダル狙える」と評される2人

 
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日本代表の公開練習で、ストレッチ中に談笑する堤駿斗(右)と森脇唯人
日本代表の公開練習で、ストレッチ中に談笑する堤駿斗(右)と森脇唯人

 2020年東京オリンピック出場を目指す日本人ボクサーの中に、8年前の金メダリストでプロでも世界チャンピオンとして活躍する村田諒太(帝拳ジム)が高く評価する選手が2人いる。ミドル級の森脇唯人(自衛隊体育学校)とフェザー級の堤駿斗(東洋大)だ。2人を含む11人はオリンピック出場権をかけ、3月にボクシングのアジア・オセアニア予選(ヨルダン・アンマン)に臨む。そこで前評判通りの戦いを見せるか、そしてオリンピック・イヤーを通じて何を勝ち取るのか。目が離せない。(読売新聞オンライン・込山駿)

金メダル継承は「使命」

シャドーボクシングをする森脇
シャドーボクシングをする森脇

森脇唯人(23歳、ミドル級=69~75キロ)

 村田と同じ階級に現れた後継者候補だ。村田がロンドンで金メダルを獲得したあの夏は、まだ駿台学園高(東京)でボクシングを始めたばかりの1年生だった。

 「それがどれほど難しいことなのか、当時は分かっていなかった。競技を続けて知識が増えていくうちに、ミドル級で結果を出した村田さんのすごさを知った」。時が過ぎ、本気でオリンピックを狙う立場になった今、プロアマとも世界的に激戦区の階級で戦う厳しさとやりがいを実感している。

 自衛隊体育学校に2019年度から所属する。全国高校総体で3年時に3位に入って頭角を現し、法政大3年時から全日本選手権を3連覇中だ。今年度の選手権では、プロで世界タイトルマッチも経験してアマに舞い戻った39歳のベテラン・佐藤幸治を準々決勝で鮮やかに倒すなど、危なげなく白星を重ねた。

 1メートル88の長身から繰り出す左ジャブに、伸びがある。このパンチでペースをつかみ、スピードを生かして倒しにいくボクシングを身上とする。

 小中学校時代は極真空手を習っていたが、「当時から背が高かったので、普通に拳を突き出すと、どうしても相手の顔に当たって反則を取られてしまう」と不満を募らせ、ボクシングに転向したという。法政大2年時に世界大会の出場権を逃したうえにチームの2部リーグ降格を招く痛恨の黒星を喫し、「生まれて初めて、本当の悔しさを知った」。その日から、練習内容や反省点などを毎日ノートにつけており、「もう30冊以上になった」。負けん気が強く、向上心あふれるボクサーだ。

 「もう誰にも負けたくない。だから、アジア・オセアニア予選は1位で東京の出場権を確保する」ときっぱり。オリンピックという大会を「特別視するつもりはない」と言いつつ、金メダル獲得は人一倍、強烈に意識している。なぜなら――。

 「ミドル級の決勝がある8月8日は、僕の誕生日。これは『優勝しなさい』という使命だと思う。村田さんを継承し、周りの日本人ボクサーに金メダルで希望を与えたい」

村田の言葉

 僕が今、森脇くんとアマチュアのルールで対戦したら、正直言って勝つのは難しい。1試合12ラウンドあるプロの世界戦が「マラソン」だとしたら、3ラウンドのアマは「3000メートル走」くらいで、試合のテンポが全く違う。僕が3回までに適応してつかまえる自信を持てないくらい、彼のスピードは素晴らしい。アップテンポの素早い攻防を見られるのは、アマの試合ならではの楽しみでもある。

 彼は僕より6センチも背が高くて、運動神経の良さも感じる。あのタフな佐藤さんを破った左のカウンターを見ると、一発の破壊力も備えている。

 あ、8年前の僕なら勝ちますよ。金メダリストの意地があるので、そこは言っておかないといけない。とはいえ、彼の恵まれた体格とボクシングスタイルは非常に魅力的だ。同じミドル級の選手の活躍を東京オリンピックで期待したい。

井上尚弥とのスパーで成長

シャドーボクシングをする堤
シャドーボクシングをする堤

堤駿斗(20歳、フェザー級=52~57キロ)

 プロの軽量級に君臨する無敗の世界チャンピオン・井上尚弥(大橋ジム)とのスパーリングを、ここ1年間で5度ほど積んできた。

 いつも4ラウンドほど戦い、最終回になると決まって、痛烈なパンチを浴びてしまう。だが、アマの試合と同じ3回までは「技術的に対応できるし、手応えのあるパンチを当てたこともある」といい、ほぼ互角の攻防に持ち込んできた。「あれほど強い選手と打ち合うスリルは、ほかで味わえない。毎回、自分の成長も感じられるし、できることならオリンピックまで週1回お願いしたいくらい」。プロの成長株たちが力試しに挑んできては、その大半が自信を失って帰っていく井上との手合わせを、喜々として繰り返せるだけの実力者だ。

 千葉県出身の東洋大2年生だ。数々のタイトルを獲得した中学時代からボクシング関係者の注目の的だった。習志野高(千葉)時代は6つの高校タイトルに輝いたうえ、3年時には年齢制限のない全日本選手権も制覇した。

 「左ジャブから、ストレートやボディーにつなげて、すべてのパンチでポイントを取れるのが自分のスタイル。最近は、接近戦で相手を下がらせる体の強さにも自信がついてきた」。強気なセリフを、さらっと吐く。

 エリート街道を順調に歩んできたが、2019年度は挫折も味わった。6月の世界選手権最終選考会を、減量失敗による体調不良で棄権。9月の世界選手権を制してオリンピック出場内定を勝ち取るというシナリオが崩壊し、「頭が真っ白になった」と涙に暮れた。「夢をあきらめたら一生後悔するぞ」という両親の激励もあって気を取り直し、11月の全日本選手権でアジア・オセアニア予選の切符を手にした。準決勝で世界選手権の出場者に連打を浴びせて圧倒するなど、完勝を重ねて復活を印象づけた。

 高校2年生の弟がいる。「小さい頃から、同じことを教わっても、必ず弟の方が先にできた。自分は別にすごく才能があるわけではないと思っている。たくさん努力できることが強み」。スター候補は、好きな言葉に「継続は力なり」を挙げた。

村田の言葉

 全日本選手権の決勝で、堤くんは素晴らしい「対応力」を発揮した。相手選手が絶好調で、1回は主導権を握れなかった。ところが、2、3回は明らかに優勢だった。相手の動きを見極めてペースを奪い返したのはすごい。

 アマチュアの大会はトーナメント方式で、初戦から勝ち進むごとに、タイプの違う選手と連日対戦することになる。初顔合わせの相手にも臆さない度胸と技術的な順応性なくして、好成績は残せない。そこは、長丁場の一戦に備えて数か月かけて対策を練るプロとの違いでもある。

 対応力に加えて、堤くんの技術レベルの高いきれいなボクシングを僕はとても気に入っていて、伸びしろも感じる。東京のメダルを手土産にプロ入りすれば、将来が楽しみ。東洋大の後輩だから――というレベルの話ではなく注目している。

村田諒太
村田諒太

《東京オリンピックのボクシング競技と出場枠》

 男子8階級、女子5階級が両国国技館で実施される。

 日本勢は男子6階級(フライ、フェザー、ライト、ウエルター、ミドル、ライトヘビー)、女子5階級(フライ、フェザー、ライト、ウエルター、ミドル)で出場を目指す。日本には「男子4枠、女子2枠」の開催国枠が与えられている。

アジア・オセアニア予選に出場する日本勢。後列左から3人目が森脇、6人目が堤
アジア・オセアニア予選に出場する日本勢。後列左から3人目が森脇、6人目が堤

 出場枠は、3月のアジア・オセアニア予選と、世界最終予選(5月13~24日、パリ)で争われる。日本から予選に出場できるのは各階級1人ずつ。

 アジア・オセアニア予選は、各階級で4強に入れば出場枠を勝ち取れるのは確実で、8強でも可能性はあるとみられる。この予選は2月に中国の武漢市で予定されていたが、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、開催地と時期が変更された。

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