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聖火リレー豆知識、1964年との違いは?

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 東京オリンピックに向けた国内聖火リレーが3月25日に福島県からスタートする。新型コロナウイルス対策を講じたうえでの実施となり、当日までに走行方法などが変更される可能性もある。聖火リレーにまつわる豆知識をまとめた。

歴史~始まりは「平和の使者たち」

北京オリンピックの採火式(リハーサル風景、2008年3月22日撮影)
北京オリンピックの採火式(リハーサル風景、2008年3月22日撮影)

 オリンピック期間中に開催会場でともされる聖火。近代オリンピックで初めて採り入れられたのは、1928年アムステルダム大会で、この時はスタジアムの外で火を灯した。

 聖火リレーは8年後の1936年、ベルリン大会で初めて登場した。その発祥は、ギリシャの古代オリンピックだ。大会前に「平和の使者」と呼ばれたランナーたちが休戦を告げるため各地を走ったことに由来している。

 聖火リレーは52年のヘルシンキ大会では初めて飛行機で運ばれ、72年のミュンヘン大会では車イスのランナーも初参加した。2014年冬季ソチ大会では、ロシアのバイカル湖でダイバーによる水中リレーが行われた。

 リレーのスタート地点は、古代オリンピック発祥の地として知られるオリンピア(ギリシャ)の古代競技場遺跡ヘラ神殿。巫女(みこ)にふんした女性により、凹面鏡を使った伝統の手法で太陽光から採火され、様々な人々の手を経て、開催地へと運ばれる。

参加走者数~2020は1万人、1964は?

最終走者の坂井義則さんが国立競技場の聖火台に点火(1964年10月10日)
最終走者の坂井義則さんが国立競技場の聖火台に点火(1964年10月10日)

 2020年東京オリンピック(2021年夏に実施、以下同じ)は、ランナー約1万人が聖火のともったトーチをつなぐ。応募条件は、2020年度において、1年生以上であること、走りたい都道府県にゆかりがあること――など。一般の人以外に、スポーツ選手や芸能人など著名人が多数含まれているが、延期に伴い「スケジュールが合わない」などの理由で辞退者が相次いでいる。

 前回の東京大会、1964年の走者総数は約10万人だった。先頭を走る「正走者」には16~20歳の若者が選ばれた。国立競技場で聖火台に点火した最終走者の坂井義則さんは、広島に原爆が投下された1945年8月6日に広島県内で生まれ、当時19歳だった。

ルート~東京15日間、最短は2日間

アメリカ占領下の沖縄を出発する聖火(1964年9月7日)
アメリカ占領下の沖縄を出発する聖火(1964年9月7日)

 福島県を出発し、ほぼ一筆書きで121日間(移動日を含む)をかけて全国47都道府県の859市区町村を回る。7月23日に東京都庁に到着した聖火は、その日夜の開会式で国立競技場の聖火台に点火される。

 各都道府県に割り当てられた日数は、東京の15日間が最多で、東日本大震災で大きな被害を受けた福島、宮城、岩手の3県と、東京近くで複数の競技会場を持つ4県が3日間とされ、残りの道府県は2日間となっている。

 1964年は9月7日にまだアメリカの占領下だった沖縄に空路で到着した聖火が4ルートに分かれ、それぞれ約1か月間をかけて全国を回り、到着地の東京で一つの灯にまとめられた。各都道府県に割り当てられた日数は、2~9日間。2020年はルートに入っている伊豆諸島や小笠原諸島など島(しょ)部は通らなかった。

走行~わずか200メートル

2020年では見られない県境でのリレー風景(1964年9月17日、高知、徳島県境で)
2020年では見られない県境でのリレー風景(1964年9月17日、高知、徳島県境で)

 聖火ランナーたちは原則的に一つの市区町村内でリレーを行い、終了後に聖火は専用のランタンに格納されて次の市区町村への車両で移動する。1964年に見られた県境での聖火引き継ぎはない。

 1人あたりの走行距離は約200メートルで所要時間は2分間ほど。介助者や盲導犬などと一緒に走ることもできる。

 日ごとのリレーは前日の会場から到着した聖火がトーチに点火される「出発式」を行って一日がスタート。中継点ではランナーが次のランナーに聖火を受け渡す「トーチキス」があり、各日の最終到着地では聖火の到着を祝う「セレブレーション」が行われる。

 1964年は正走者1人、副走者2人、随走者20人以内が隊列となり、集団でリレーを行った。57年前の国内の総走行距離は6755キロ(海上区間を除く)で、総区間数4374で割って単純計算した1区間あたりの平均距離は約1・54キロと今回よりかなり長い。

トーチ~燃料はLPガス、一部で水素も

2020年のトーチを披露する野村忠宏さん(2019年3月20日)
2020年のトーチを披露する野村忠宏さん(2019年3月20日)
1964年のトーチ(レプリカ)
1964年のトーチ(レプリカ)

 トーチのデザインは2019年3月20日に発表された。長さ71センチ、重さは1・2キロ。デザイナーの吉岡徳仁(とくじん)さんがデザインし、形や色は桜をモチーフとしている。素材には東日本大震災時の仮設住宅で使われたアルミニウムが活用された。

 聖火の炎の燃料は液化石油ガス(LPガス)で、燃焼部には、1500度まで加熱して水を弾く「白金触媒燃焼」など最先端の技術が導入される。1時間50ミリもの大雨や、風速17メートルの強風にも耐えることができる構造になっている。一部都県では水素燃料のトーチを使用する。

 1964年のトーチは赤リンに金属粉などを混ぜた燃焼物を燃やす方式で、防衛装備品の爆薬などを扱っていた昭和化成品(現日本工機、本社・東京)が製作した。工業デザイナーの草分けだった柳宗理さんがデザインした鋳鉄製ホルダーに、長さ55センチ、直径3センチのステンレス製トーチを差し込んで使用し、総重量はやはり1キロを超えた。納品された7200本のトーチは風雨に消えることもなく、その任務を全うした。
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1062409 0 東京オリンピック2020速報 2020/02/20 09:30:00 2021/03/25 13:03:35 2021/03/25 13:03:35 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/02/20200206-OYT1I50054-T.jpg?type=thumbnail
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