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2020年東京五輪の聖火リレールートの詳細が17日に発表され、和歌山県内でも聖火ランナーが走るコースが明らかになった。県の実行委員会は、県内を走るランナー約180人のうち、45人を発表。うち4人が和歌山市内で記者会見を開き、抱負を語った。
聖火リレーは20年3月26日に福島県をスタートし、7月24日の開会式までに47都道府県を巡る。和歌山県は全国8番目で、三重県から聖火を受け取り、4月10、11両日に県内14市町を巡った後、奈良県に引き継ぐ。
1日目の10日は新宮市からスタート。市消防本部近くの県道「王子ヶ浜三叉路交差点」付近の広場で出発式を行った後、午前9時頃にランナーが走り出す。その後は6市町が趣向を凝らした「ミニセレブレーション」を各出発地点で行い、最終到着地点の和歌山マリーナシティ(和歌山市)では、聖火の到着を祝う大規模な式典を開催する。
2日目の11日は和歌山市の和歌山城西の丸広場で出発式を実施。4市町で聖火をつないだ後、橋本市運動公園多目的グラウンドで到着の式典を行う。
走者は、聖火をともしたトーチを手に、1人あたり約200メートルを約2分間かけて走る予定。市町ごとの距離は約1・7~3・7キロで、2日間の総距離は約35キロ。走者の走る区間以外はバスなどで聖火を運ぶ予定だ。
1964年東京五輪の聖火リレーでは紀南は通らなかった。それだけに、地元の期待は大きい。那智勝浦町では、世界遺産の熊野那智大社や那智の滝へと続く熊野古道「大門坂」入り口がスタート地点となった。ふもとにある「大門坂茶屋」の女将、宮本照代さん(90)は「熊野の地で聖火リレーが行われるのはありがたいこと。ランナーの皆さんには豊かな自然や景色も楽しんでもらえるはず。一層、おもてなしに磨きをかけていかないと」と話した。
県立田辺高時代に陸上5000メートルで国体に出場し、これまで50回以上フルマラソンに挑戦してきたという田辺市企画広報課の太田洋係長(50)は「身近で聖火を見られるのは1人のスポーツファンとして非常に楽しみ。聖火が紀南を走り抜けることで、地域のスポーツ熱も盛り上がるのでは」と期待する。
聖火ランナーのうち、県の実行委が1660人の応募者の中から選んだ一般ランナー38人と、県が選考した「PRランナー」7人の計45人が17日に発表された。このうち、一般ランナー4人が県庁で記者会見した。
有田市の上野山馨さん(94)は45人の中で最年長。現役のフルマラソンランナーで「毎日15~20キロを走っており、体力に自信はある」と笑顔を見せた。
トルコ出身の串本町役場の国際交流員ドゥルナ・オズカヤさん(32)は「肌の色、言葉の違いがあっても私たちは一つだということに気付いてもらいたかった」と力を込めた。
射撃で1988年ソウル、92年バルセロナ五輪に出場した勢見月(せみづき)文久さん(70)(かつらぎ町)は、「日本の選手が少しでも良い成績を残せるように祈って走る」、ソフトボール世界選手権で3位になった経験を持つ中川聖子さん(76)(和歌山市)は「二度とないチャンス。生きてきた証しにしたい」と意気込んだ。
PRランナーは、64年東京五輪体操で二つの金メダルをとった早田卓次さんや、ロンドン五輪に出場し、体操の「田中3きょうだい」として知られる田中和仁さん、妹の理恵さんらが選ばれた。