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【聖火】被災地を笑顔に、羊飼いの北見さん…兵庫・岩手で震災2度経験

 
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「笑顔で周りを励ましたい」と語る北見さん(3月5日午後1時58分、御浜町で)=根岸詠子撮影
「笑顔で周りを励ましたい」と語る北見さん(3月5日午後1時58分、御浜町で)=根岸詠子撮影

 東京五輪の聖火ランナーを務める三重県御浜町の羊飼い・北見悠加さん(42)は、阪神大震災と東日本大震災で2度被災した。笑顔が被災者を勇気づけることを実感した経験から、「被災地へエールを送るつもりで、笑顔で走りたい」と意気込んでいる。

 北見さんは兵庫県尼崎市出身で、高校2年の時、阪神大震災が起きた。自宅マンションで就寝中、息苦しさで目を覚ますと、倒れた和だんすとピアノの隙間にいた。幸いけがはなく、家族も無事だった。高校は休校になり、友人とボランティア活動に参加、倒壊した家の片付け作業を手伝った高齢女性から「あなたたちの笑顔を見たら、つらいことも忘れられる」と礼を言われたという。

 大学卒業後、大阪市のテーマパークに就職したが、遊びで訪れた兵庫県の観光牧場でヒツジの愛らしさに引き込まれたのがきっかけで退職し、北海道や岩手県雫石町などの観光牧場で働いた。

 2011年3月11日、雫石町の牧場の駐車場で立っていられないほどの揺れに襲われた。地面が波打ち、売店のガラスが割れる音が聞こえ、必死で軽トラックにしがみついた。ラジオは7メートルの津波が来ると伝えていたが、「何が起きているのか理解できず、とにかく怖かった」と振り返る。

 内陸部で津波の被害はなかったが、停電と余震が続く中、割れたガラスの修理など施設の復旧作業に追われた。すぐに逃げ出せるよう、夜は自宅の寒い玄関で寝た。「阪神大震災を思い出し、必ず復旧できると励まし合った」

 約1か月後に再開した牧場では、訪れる人たちの癒やしになればと、ショーは昔話をアレンジしてヒツジの愛らしさを前面に出した内容にし、笑顔での接客を心がけたという。

 牧場で知り合い、結婚した桂吾さん(39)と、自分たちの牧場を持つ夢をかなえるため、13年4月、桂吾さんの母の古里である御浜町に移住した。5年がかりで熊野灘を見下ろす高台の雑木林を切り開き、観光牧場をオープンした。約20頭のヒツジを飼い、一般に開放して餌やり体験などを実施している。

 昨年、聖火ランナーに応募し、4月9日に熊野市を走ることが決まった。桂吾さんは「笑顔は君の武器だから頑張って」と、長女の糸ちゃん(4)とともに応援してくれており、牧場の坂道を走って体力作りをしている。

 御浜町も、南海トラフ地震で津波が来ると予想される。「目を閉じれば今も被災地の光景が目に浮かび、日常のありがたさを痛感する。私も笑顔に支えられたので、感謝の気持ちを込めて走りたい」と語った。(根岸詠子)

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1101587 0 東京オリンピック2020速報 2020/03/11 14:10:00 2020/03/11 14:10:00 2020/03/11 14:10:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/03/20200311-OYT8I50039-T.jpg?type=thumbnail
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