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[金の系譜 番外編]リング外でも激闘…モハメド・アリ

  
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アトランタ五輪の開会式で、パーキンソン病のため震えの止まらない手を使い、聖火を点火するボクシング・元ヘビー級世界王者のモハメド・アリ氏(米)=AP
アトランタ五輪の開会式で、パーキンソン病のため震えの止まらない手を使い、聖火を点火するボクシング・元ヘビー級世界王者のモハメド・アリ氏(米)=AP

 1960年、当時はカシアス・クレイだった少年が、ローマ五輪で金メダルに輝いた。類いまれな運動能力とボクシングのセンスに恵まれた18歳の新鋭にとっては、偉大な競技人生における第一歩に過ぎなかった。

 64年、ソニー・リストン(米)を破って世界ヘビー級王者に。イスラム教に改宗し、モハメド・アリと改名した。スピードを武器に防衛を重ね、自由奔放な言動も注目を集めた。試合が衛星中継された日本でもスターになった。

 67年、運命は暗転した。「自分とベトコンとの間に、いさかいはない」とベトナム戦争への徴兵を拒否。非難を浴びてタイトルを剥奪はくだつされ、裁判で有罪判決を受けた。しかし、戦争の泥沼化に伴い厭戦えんせんムードが広がり、連邦最高裁は71年、有罪判決を破棄した。

 致命的と思われた3年半のブランクを乗り越えた。74年、ジョージ・フォアマン(米)をKOし世界王者に復帰した試合は「キンシャサの奇跡」と言われた。78年に王座を失ったが、再奪取。81年、39歳で引退した。76年6月、東京でプロレスラーのアントニオ猪木と異種格闘技を行ったことも日本のファンに強い印象を残した。

 84年にパーキンソン病と診断された。聖火の点火者を務めた96年アトランタ五輪の開会式で、手の震えを懸命に抑え、トーチを聖火台につながる着火装置にかざした姿は、見る者の心を揺さぶった。60年の金メダルを、人種差別への怒りから川に捨てたという逸話がある。国際オリンピック委員会(IOC)は、アトランタ大会中に、金メダルのレプリカを授与した。

 2016年、74歳で亡くなった。ヘビー級のボクシングにスピード革命を起こし、人種差別と戦い、反戦の意志も貫き、病気にも立ち向かった。リング上の功績だけでは語り尽くせない生きざまに、世界の人々が魅了された。(塩見要次郎)

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1173034 1 東京オリンピック2020速報 2020/04/18 05:00:00 2020/04/20 11:10:02 2020/04/20 11:10:02 American swimmer Janet Evans looks on as Muhammad Ali lights the Olympic flame during the 1996 Summer Olympic Games opening ceremony  in Atlanta Friday, July 19, 1996.  (AP Photo/Michael Probst)アトランタ五輪の開会式で、パーキンソン病のため震えの止まらない手を使い、聖火に点火するボクシング・元ヘビー級世界王者のモハメド・アリ氏(米)=AP。3度の王座獲得や黒人解放運動で貫いたのと同じ不屈の精神を、難病に負けない姿勢で世界にアピールした。右は水泳女子のジャネット・エバンス(米)。アリ氏はローマ五輪でライトヘビー級の金メダルを獲得したほか、プロ転向後に王座を獲得したが、剥奪や陥落のたびに返り咲き、差別解消に影響を与えたと言われる。聖火点灯の時も闘病生活を続けていたが、その後74歳で死去した。米アトランタで。1996年7月19日撮影。2016年6月5日朝刊「偉大な男、不屈の闘志」掲載。 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/04/20200417-OYT1I50045-T.jpg?type=thumbnail
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