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[地球遊泳]人と人つなげる力…結城和香子

  
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 新型コロナウイルスの感染拡大で、世界各地で「スポーツ」の時が止まっている。

 スポーツは、平和で安全な日常がなければ行えない。そう実感する時、心をよぎる記憶がある。アテネ五輪に特別枠で参加を許され、ギリシャで訓練をしていた、アフガニスタンの若者たちとの会話だ。タリバン政権下、恐怖の中で自宅に数年間閉じこもっていたという女性。弾痕の残る荒れ果てたスポーツ施設。男子陸上選手は、大きな音を聞いただけで気を失うほどの心の痛みを抱えていた。それでもスポーツをしたい、祖国の人々に希望を伝えたい、そんな若者たちの思いが心に残った。

 感染予防のため、集団での部活動から国際競技大会まで、中止や延期が続く。「1日24時間そこにあったスポーツ」(国際オリンピック委員会のマコネル・スポーツ局長)が途絶える状況を見ていると、スポーツを行うにはもう一つ、条件があったと気づかされる。人との触れ合いやつながりだ。指導者と選手、チームや仲間、支援者や観客、不特定多数の人とのつながりや時間の共有の中で、スポーツという文化が成り立っていたのだと。それができにくい社会では、個々に体を動かすか、家族という身近な絆の中で楽しむしかない。

 スポーツには、違いを超えて人々を一つにする力がある。それは人々のつながりの象徴――。スポーツの本質とは何なのかを、改めて考えさせられる。

 スポーツができない非日常の体験は、スポーツが持つ意味に深さを与える。アフガニスタンの若者たちは、五輪参加に平和な日常への願いを託した。世界中の若者たちは、来年の東京五輪に何を見るだろう。開催国の私たちも、そんな思いを受け止める、心の深さを持ち続けたい。(編集委員)

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1177500 1 東京オリンピック2020速報 2020/04/21 05:00:00 2020/04/21 05:00:00 2020/04/21 05:00:00
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