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[金の系譜 番外編]SNS中傷乗り越え、貧民街の道場に凱旋…リオ柔道女王シルバ

  
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金メダルを獲得し、支援組織のセレモニーで子供らに囲まれたラファエラ・シルバ
金メダルを獲得し、支援組織のセレモニーで子供らに囲まれたラファエラ・シルバ

 南米初の五輪をリオデジャネイロで開催したブラジルに、金メダル第1号が誕生したのは大会4日目。松本薫の2連覇がかかる柔道女子57キロ級を24歳のラファエラ・シルバが力で制した。

 サッカーが人気のお国柄だが、国内報道はシルバ一色に。ブラジル社会を象徴する彼女の半生に共感が集まったことも大きかった。

 リオ市西部の五輪公園から近い、ポルトガル語で神の街を意味する「シダージ・デ・デウス」の出身。リオだけで1000か所以上あるファベーラと呼ばれる貧民地区の一つで、麻薬がらみの事件が相次ぐ荒れた街として知られていた。銃弾が飛び交い、毎日人が殺される地獄のような様子は、開会式で演出を担当したフェルナンド・メイレレス監督の映画でも克明に描かれた。シルバ自身、子供の頃に目の前で友達が銃弾で命を奪われる壮絶な体験をした。若くして犯罪に手を染めてしまう者が多い中、彼女は姉とともに、柔道に打ち込んで人生を切り開いた。

 非政府組織(NGO)が運営するファベーラ近くの道場で腕を磨いてブラジル代表入りを果たし、2012年ロンドン大会で五輪初出場。早々に敗退したが、ファベーラ育ちの黒人に対する偏見は根強く、SNSで人種差別的な中傷を受けた。リオで雪辱を果たしたシルバは金メダルとともに道場に凱旋がいせん。「ファベーラ出身者として自分が成し遂げたことを誇りに思う」と語った。

 昨年、ドーピング検査で陽性反応が出た。ぜんそく治療に使用される薬物で、友人の子供と接触した中で摂取した可能性があり、故意ではないと主張している。新型コロナウイルス感染拡大で、ブラジル代表も活動を自粛しているが、リオではシルバのコーチを務めた現ブラジル男子代表監督の藤井裕子氏は「五輪連覇へ東京を目指す彼女の気持ちは変わっていない」と話す。山あり谷ありの柔道人生を、まだ終わらせるつもりはない。

(畔川吉永、写真も)

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1240790 1 東京オリンピック2020速報 2020/05/26 05:00:00 2020/05/26 12:23:42 2020/05/26 12:23:42 ファベーラの子供たちと笑顔で交流するリオデジャネイロ五輪柔道女子57キロ級金メダルのラファエラ・シルバ選手。リオデジャネイロで。リオ五輪の柔道で金メダルを獲得したファベーラ(貧民街)出身のブラジル代表、ラファエラ・シルバが、自らの支援団体「レアソン」の凱旋セレモニーに参加し、「ファベーラ出身者として自分の成し遂げたことを誇りに思う」と語った。2016年8月25日撮影 同月26日夕刊「ファベーラの星 凱旋」掲載 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/05/20200526-OYT1I50004-T.jpg?type=thumbnail
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