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競泳金メダル5個のレデッキー「延期でよかった。東京は5種目で金狙う」…インタビュー完全版

  
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 オリンピック2大会で計5個の金メダルを獲得した競泳女子のケイティ・レデッキー(アメリカ)が読売新聞のインタビューに応じた。2016年リオデジャネイロ大会で自由形4冠を達成した23歳のトップスイマーは、今年5月末に行われた日本の中高生向けイベント「STEAM教育プログラム」(パナソニック主催)にインターネットを通じて参加した後、取材に答えた。新型コロナウイルスの感染拡大による東京オリンピックの1年延期には、「中止ではなく延期となったのはうれしい」と率直な思いを打ち明け、「うまくいけば東京大会は最高のオリンピックになる」と、大会が世界に一体感をもたらすことに期待を込めた。(聞き手・工藤圭太)

オンラインでインタビューに答えるレデッキー
オンラインでインタビューに答えるレデッキー

世界を一つに結びつける最高のオリンピックに

 ――東京大会の延期を聞いてどう思ったか。1年延期されたオリンピックは、どのような大会になると思うか。

 「今年のために、何年もものすごい努力を重ねてきたけれど、延期の決断は私たちの健康と世界のために正しいものだったと思う。今年の夏に大会が開かれたとしても、意味をなさないものになっていた。だから、中止ではなく延期になったことはとてもうれしかった。今年のために何年も努力を続けてきたアスリートにとっては気分が良くないと思う。延期されるという事実を理解するのはとても難しいことだった。しかし、私たちはアスリートとして受け入れなければならない。受け入れるか受け入れないかという、単に2つある選択肢のうちの一つだ」

 「私は来年にあるオリンピックのことを思う時、とても希望に満ちあふれた気持ちになる。オリンピックが開かれれば、私たち全員が一体となれるからだ。大会はまだ先の話で、数か月の間に開かれるものではない。大会までに、東京都や国際オリンピック委員会(IOC)が計画を立て、私たちが新たな生活に順応する時間を確保できるような『科学的なブレイクスルー(突破口)』が生まれることを望んでいる。うまくいけば、東京大会は過去最高のオリンピックになれる。人が互いに孤立してしまった時代に、世界を一つに結びつけることができる。アスリートにとっても観戦する人たちにとっても、一緒に集まることができる最初の機会が東京大会になると思う。そう考えると、深く感情を揺さぶられる」 

 ――今のような危機にアスリートが果たせる役割はどんなことか。

 「延期を受け入れ、(スポーツという)私たちの舞台を利用して、人々が(新型コロナウイルス感染を防ぐ)指針に従うように促すこと。私たちが周囲の人たちの健康のために、スポーツを後回しにできると示すこと。誰も予想していなかった状況だが、私たちはアスリートとして周りの状況変化への適応に慣れている。しっかり対応できると思う」

コロナ対策中は友人宅プールで調整

リオデジャネイロ五輪女子800メートル自由形決勝で泳ぐレデッキー。世界新で優勝し、200メートル、400メートルに続いて自由形個人3冠を達成した
リオデジャネイロ五輪女子800メートル自由形決勝で泳ぐレデッキー。世界新で優勝し、200メートル、400メートルに続いて自由形個人3冠を達成した

 ――現在の練習の状況は。

 「今はカリフォルニアにいるが、ほとんどのプールはまだ閉まっていて使えないままだ。そのためオリンピックサイズのプールでは練習できないが、友人宅にあるプールで泳いでいる。加えて、器具を使った自宅でのトレーニングだ。体力レベルを維持し、体調を保つためだ。大きなプールが使えるようになれば、本当に進化するための練習に戻ることができる」

 ――大会に出場するメドは。

 「長い休みの後は水中での感覚を取り戻すのに5~6週間かかる。2~3か月は大会には出ない。幸運なことに水中にいなかった時間がそこまで長いわけではないから、状態はとても良い。もし来週に大会があるとしても準備はできている。自己ベストで泳ぐことはできないと思うけど、レースに出ること自体は可能だ」

 ――昨夏の世界選手権は2種目を棄権し、金メダルは1つ。体調不良だったのか。

 「ウイルス性の腹痛に見舞われ、調子はよくなかった。休憩を取るようにしながら、800メートルリレーと800メートル自由形の決勝を泳ぐことができた。柔軟に対応することを学び、とても満足している。すごく役立つことを学んだし、一生懸命に練習したことは無駄にならないことも知った。昨年はハードワークを続けて、それも無駄にはなっていない。今年やっているハードワークも無駄にはなっていない」

新種目の1500メートル自由形にも照準

 ――東京大会では1500メートル自由形も新種目に採用された。リオデジャネイロ大会で優勝した3種目と合わせて個人4冠を狙うのか。

 「メダルの数を目標にはしていない。それぞれの種目でどれくらいのタイムを出せるか、計画をどこまで達成できるかを意識している。でも、もちろん1500メートルが実施種目に加えられたことにはとても興奮しているし、狙うのは間違いなく200、400、800、1500メートル自由形と、800メートルリレーだ。まだ選考会は行われておらず、どの種目の出場権も得ていないけれども」

 ――日本女子レスリングの伊調馨が同一種目でオリンピックを4連覇した初の女性アスリートになった。あなたは東京大会で800メートル自由形3連覇がかかる。将来的には4連覇を狙うのか。

 「遠い未来のことは何も考えていない。今は東京大会での目標に集中している。確かに800メートル自由形で女子選手が3回連続で勝ったことはないと思う。でも、それは歴史の本に載るようなこと。私はもっと自分が成し遂げたいことに集中している。東京大会後のオリンピックにも出たいと思っているのは確かだけど、現時点では1年1年を大事にすることが必要だ」

 ――安全性が担保されない場合、東京都とIOCはオリンピックを開けると思うか。

 「アメリカやIOC、国際パラリンピック委員会がきちんと決断すると信じているし、希望を持っている。これから先の数か月で、オリンピックがどのような形になるのかがわかると思う。多かれ少なかれ、変化は起きるだろう。選手村の外観などはどうなるのか。全員がマスク着用など、普段のオリンピックではあり得ないことも起こるだろう。私たちは、変化があるということを現時点で認識していなければいけない。IOCや東京都がアスリートやボランティア、コーチ、観客らの健康と安全のためにリーダーシップを発揮すると期待している」

教育は「私の人生で優先順位が高い」

リオ五輪で自由形個人3冠を達成し、金メダルを手にポーズ
リオ五輪で自由形個人3冠を達成し、金メダルを手にポーズ

 ――STEAM(Science=科学、Technology=技術、Engineering=工学、Art=芸術、Mathematics=数学――の5つの単語の頭文字を組み合わせた造語)教育の普及に、パナソニックとともに取り組んでいる。

 「STEAM教育は、アメリカでは特に公的サービスの水準が十分ではないコミュニティーにおいて、大切だと思う。このプログラムを日本でも広げる機会に携われて、とても幸せだ。今後もこうした機会を楽しみにしている。取り組みは、アメリカで新型コロナウイルスが蔓延する前、今年初めにスタートした。1年を通じて続ける計画だ。とても興奮している。国境を越えて、多くの国の子どもたちに刺激を与えたいと願っている」

 ――トップの競技者が、なぜ今、STEAM教育に携わるのか。

 「私にとってとても大きな機会だからだ。オリンピックに出るアスリートとして、そしてまだ学び続けている学生として、何かを還元できる人生でも大事な時間だ。一人の学生として、周りの人たちに何か還元し、次世代に伝えることは、オリンピックムーブメントの一環として重要なこと。パナソニックのビジョンもオリンピックと同じで、「次世代に刺激を与え、感化する」ということを打ち出している。私は責任を受け入れたいし、アスリート人生の大きな部分だと考えている。ただ泳いだり、いいタイムを出したり、トレーニングしたり、レースに出たりすることだけではなく、プールの外で貢献する機会を探っている。(教育は)私が情熱を注いでいることであり、パナソニックと活動できてとても幸運に思っている」

 ――大学で心理学を専攻し、STEAM教育プログラムにも参画している。それは泳ぎのパフォーマンスにも影響しているか。

 「パフォーマンスを高めてくれている。心理面で積極的でいられるし、プールの外で勉強していることで、自分自身を最高の状態に保つことができる。脳は、前向きでいるために必要な筋肉のようなもの。私の泳ぎにもとても役立っている」

 ――学生とトップアスリートの二足のわらじを履く中で、次の世代に伝えたいことは。

 「私は学生でもあり、教育は私の人生の中でも優先順位が高いということを伝えたい。アスリートをアスリートとしか見ていない人が多いと思うけれど、私にとって教育はすぐそこにある身近なものだ。教育と学びは、競技よりも後に来るものではないと信じている。そういうメッセージを発信することで、若い人たちは様々な分野に熱意を持ち、視野を広げられるのではないか。それこそ私たちがSTEAM教育で取り組んでいることだ。将来のキャリアは築き上げてきたものの蓄積。私たちはスキルを学ぶことやチャンスを提供することで、若い世代を手助けできる。子どもたちの将来の助けにもなると考えている」

プロフィル

 ケイティ・レデッキー 1997年、アメリカの首都ワシントン生まれ。15歳で出場したロンドンオリンピックの800メートル自由形で金メダル、前回リオ大会は200、400、800メートル自由形、800メートルリレーで4冠を達成した。4度出場した世界選手権では金メダル15個、銀メダル3個を獲得。自由形3種目の世界記録保持者でもある。名門スタンフォード大学に在学中。

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1279469 0 東京オリンピック2020速報 2020/06/16 05:00:00 2020/06/16 05:00:00 2020/06/16 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/06/20200612-OYT1I50062-T.jpg?type=thumbnail
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