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[ママアスリート 2020]<上>育児の喜び 競技の支え…両立難題 でも充実感

  
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 開幕が1年延びた東京五輪・パラリンピックでは、男女混合種目が増えたことなどで過去最多規模の女子選手の参加が見込まれている。その中で、出産後も競技を続ける「ママアスリート」が近年、目立ち始めている。子育てとの両立の難しさや、やりがい、環境整備など課題も含めた現状に迫る。

 すべてのアスリートにとって東京大会の延期の影響は大きく、中には引退を余儀なくされる選手もいる。海上でヨットを操作し、順位を競うセーリング。大自然を相手にする過酷なこの競技の女子470級でメダル候補に挙がる吉田愛(39)(ベネッセ)は、子育て中だからこその喜びを思い描いたという。

 「一番最初に、『琉良るいが4歳になった時に五輪になるんだ』って思った。もしかしたら(自分の活躍を)覚えていてくれるかもって」

 吉田は、もうじき3歳になる長男、琉良君の育児に奮闘中だ。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が解けるまで、子供をあやしながら練習する難しさに直面した。これまで練習のある日中は母親らに預けていたため、24時間体制での育児は初体験。早朝、こっそりバイクをこいでいると琉良君が泣き出してしまい、トレーニングはなかなか進められなかった。それでも、「成長を間近で見られる喜びがあった」と充実感を感じ、自身のプレーを記憶に残してほしいという思いは一層、強くなった。

 国内外の遠征や合宿で家を空けることが多いトップ選手にとって、競技と育児を両立するには家族や周囲の協力が不可欠だ。クレー射撃の中山由起枝(41)(日立建機)は、両親の力を借りながら長女の芽生さん(18)を育ててきたが、「両親に申し訳なさでいっぱいだった」と振り返る。クレー射撃は選手寿命が長いため、海外では産後復帰が当たり前。一方で国内では奇異な目で見られ、同性の女性から「子供がかわいそう」とあからさまに批判された。芽生さんも幼稚園の頃は、母親に会えないさみしさからか「普通のお母さんがいい」と漏らすほどだった。

 子供と過ごす時間を犠牲にしている思いがあるから、「中途半端ではできない。諦めないで立ち向かう姿を見せたいという母親の意地がある」と中山。その意地で、順当なら5度目の五輪となる東京大会で飛躍を期している。そして芽生さんも大学生となり、今では「ママは唯一無二の存在」と言ってくれる。「娘がいなければこの年齢まで競技は続けていなかった。一生懸命やってきたことが実証された気がする」と話す。

育児と競技の両立を続ける土田和歌子(2019年5月撮影)
育児と競技の両立を続ける土田和歌子(2019年5月撮影)

 コーチでもある夫とともに車いす陸上とパラトライアスロンを続ける土田和歌子(45)(八千代工業)は、今年の母の日に中2の長男から手紙をもらい、涙が出そうに。「家族を大事にする気持ちを培うことができたのかな」と障害を抱えながら育児と両立してきた日々の重さをかみしめる。競技人生の「集大成」と位置づける東京大会に最高の応援団とともに臨めるのも、ママアスリートゆえの幸せだ。

(工藤圭太、後藤静華)

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1297157 1 東京オリンピック2020速報 2020/06/24 05:00:00 2020/06/24 05:00:00 2020/06/24 05:00:00 トライアスロン・世界シリーズ横浜大会。パラトライアスロンの部・女子座位(PTWC)。4位に入った土田和歌子(八千代工業)。横浜市中区で。2019年5月18日撮影。 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/06/20200624-OYT1I50007-T.jpg?type=thumbnail
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