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[再挑戦]コロナの試練、共に越えよう…ホストタウン工夫重ね

  
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 新型コロナウイルスの感染拡大は、東京五輪・パラリンピックに向け、準備を進めていた全国のホストタウンの活動を中断させた。交流の灯を絶やさないように。取り組みは静かに続き、徐々に深まりを見せている。

交流の灯を絶やさぬように

南スーダン5人組、合宿8か月

 「これからもぜひ応援を続けてほしい」。前橋市は22日、合宿が8か月となった南スーダン選手団5人への支援について来夏の本大会まで延長すると発表し、市民に呼びかけた。

 支援は費用面にとどまらない。練習会などへ参加させてもらえるよう奔走もしてきた。選手に試合勘を忘れず、本番で力を出し切ってもらいたいとの思いからだ。選手団のオミロク・ジョセフコーチ(59)は「滞在を続けられることは大きなチャンス。トレーニングを積み、選手にはいい成績を残してほしい」と感謝した。

ビデオレター to カナダ

 「Good Luck to the OLYMPICS!(五輪で頑張って!)」。地元高校生たちが元気に叫ぶ。盛岡市が今月、7人制ラグビーと水球のカナダ代表チームに送ったビデオレターの一場面だ。

 2016年にカナダのホストタウンとなった盛岡市。代表チームの合宿で来日した選手らが学校訪問などで市民と交流を重ね、五輪への機運を高めてきた。だが、新型コロナの影響で延期に。子供たちに芽生えた国際感覚を失ってほしくないと、ビデオレターで過去の交流や市内の風景写真などを送付、再会を楽しみにしている思いを伝えた。

 返信動画も届いた。「安全に過ごされていることを願っています」。コロナ禍での盛岡市民を心配しつつ、練習に励む選手たちの元気な姿があった。岩手県では新型コロナの感染者が確認されていない。市の担当者は「外国からの訪問を不安に思う人もいるだろうが、交流を続け、来年につなげたい」と期待を込める。

ブルガリアのレシピ披露

 新体操のブルガリア代表を受け入れる山形県村山市では、国際交流員のアントアネタ・ビターレさん(44)がユーチューブの市公式チャンネルで母国の料理を紹介している。

 新体操の元代表選手。目的だったスポーツ指導は、新型コロナでできなくなった。考えたのが得意料理の紹介。冷製スープ「タラトル」やパプリカの肉詰めなどこれまで五つのレシピを披露した。「料理を通じてブルガリアの文化を伝えたい」と話す。

動画サイトで後押し

 コロナ禍でのホストタウンの交流を支援しようと、内閣官房の事務局は今月、動画サイト「世界はもっとひとつになれる」を開設した。パラリンピックを目指す選手らが、ホストタウンについて語る動画を配信しているほか、今後は海外の五輪選手からホストタウンに向けたメッセージも紹介する。

福島に拠点 元校長が語り部

東日本大震災・原子力災害伝承館(奥)で、語り部活動などに携わる予定の泉田さん(福島県双葉町で)
東日本大震災・原子力災害伝承館(奥)で、語り部活動などに携わる予定の泉田さん(福島県双葉町で)

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で被災した福島県にとって東京五輪・パラリンピックは、災害の教訓と復興をアピールできる絶好の機会になる。3月まで同県双葉町立双葉南小の校長だった泉田淳さん(61)は延期となった分、思いを強くしている。

世界へ「震災」伝えたい

 泉田さんが4月から勤務しているのは、震災や原発事故の関連資料などを保存し、教訓を語り継ぐアーカイブ拠点施設となる県の「東日本大震災・原子力災害伝承館」。今秋の開館に向け、準備に追われる。

 伝承館は第一原発が立地し、全町避難が続く双葉町で3月に一部解除された町北東部に建設された。今夏にオープン予定だったが、新型コロナウイルスの影響でずれ込んだ。被災者の語り部口演や被災地を歩くプログラムも企画され、外国人客らへの発信が期待されている。

 泉田さんは震災時、南相馬市立大甕おおみか小の教頭。高台にある学校は津波を免れたが、自宅に帰した教え子4人が犠牲になり、1人は行方不明のまま。「あの時、帰宅を止められなかったか」と今も悔やむ。

 伝承館では案内係や語り部などを担う。県公募の聖火ランナーでもある。「立ち上がろうとしている福島を見てもらえる機会。避難した子供たちの頑張りを伝え、亡くなった教え子たちの供養にもしたい」と町の復興と五輪開催を願う。

ボランティア89歳の総決算

ラグビーW杯の盛り上がりを振り返り、「五輪でも世界中の人とふれ合いたい」と語る安田さん(15日、横浜国際総合競技場で)
ラグビーW杯の盛り上がりを振り返り、「五輪でも世界中の人とふれ合いたい」と語る安田さん(15日、横浜国際総合競技場で)

 東京五輪・パラリンピックには、全国で10万人超のボランティアが参加予定だ。得意の語学を生かそうという若者や、日本の心を伝えたいというお年寄りもいる。横浜市中区の安田十四雄さん(89)も、その一人。「五輪開催を信じ、心身ともに健康を維持したい」と楽しみにしている。

 ボランティアのきっかけは35年ほど前。地域の子供たちに火おこしの方法を手ほどきすると、夢中で耳を傾けてくれた。「誰かに喜んでもらえること」の快感に目覚めた。1998年の長野五輪では報道カメラマンの誘導に携わり、昨秋のラグビー・ワールドカップ日本大会では「最年長ボランティア」として活躍した。

 1年延期の報道を見た翌日から、毎日ジョギングを続ける。新型コロナウイルスの影響は気がかりだが、「東京五輪はボランティア人生の集大成」という思いは変わらない。「笑顔で世界中の人たちを迎えられるように、来夏を待ちたい」

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1368253 1 東京オリンピック2020速報 2020/07/25 05:00:00 2020/07/27 14:03:04 2020/07/27 14:03:04 今秋、オープン予定の「東日本大震災・原子力災害伝承館」の職員として1年後の東京五輪・パラリンピックの開催を楽しみにしている泉田淳さん(午後3時30分、福島県双葉町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/07/20200727-OYT1I50044-T.jpg?type=thumbnail
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