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ホストタウン もてなし不安…感染防止へ指針、五輪前の接触禁止 「陽性」対応難しく

  
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 来夏の東京五輪・パラリンピックで海外選手をもてなすホストタウン向けに、政府が新型コロナウイルス対策の指針をまとめた。移動中や宿泊先の感染防止徹底に加え、市民との接触を大幅に制限する内容で、各自治体は、交流行事の変更や医療態勢の整備を迫られそうだ。

■握手会、お茶会

 セルビアの男子レスリング代表が約1週間、事前合宿を行う埼玉県富士見市。子どもとのレスリング教室や握手会を開き、お茶や着物の体験で日本に親しんでもらう計画だった。

 だが、12日に公表された指針は、選手の行動はホテルと練習場の往復に限った上、大会前の住民らとの交流は「接触が生じない」ことを条件とし、オンラインでの対話や、練習見学などにとどめるよう求めた。交流は大会後を推奨しているが、セルビアの選手は競技を終えると、そのまま帰国してしまう。

 「計画通りに行事を行うのが難しくなった。ふれ合いがなくなれば、ホストタウンを務める意味がないので、限られた機会で何ができるか考えたい」。市の担当者は困った様子で語った。

■費用負担重く

 指針によると、海外選手を現地に案内する際は、専用車両を使うのが原則。遠方で新幹線や飛行機を利用する場合は、ホストタウンの責任で、駅や空港で一般客と動線を分け、車両を貸し切りにしたり、前後2列を空席にしたりする必要がある。

 ジョージア(旧称グルジア)の柔道選手が、飛行機で来る予定の福岡県大牟田市。今後、航空会社と交渉することになるが、市は「座席を多く確保するための費用を捻出するのは厳しい」と漏らした。

 感染対策にかかる費用負担への不安は、多くの自治体から上がっている。ホストタウンは、国に登録すれば活動経費の半額の支援を受けられるが、政府は、さらなる支援を検討している。

 ジョージアの選手は、柔道の強豪校などで調整する計画で、市に稽古相手の確保も要望していた。ただ、指針は練習場を貸し切りにし、地元住民が相手を務めるのは避けるよう求めており、市はジョージア側と対応を協議するという。

■地域医療は

 人口約3万人の山形県南陽市では、カリブ海の島国・バルバドスの陸上選手ら約10人が事前合宿する。

 今回の指針で浮かび上がった課題は、選手に対応する医療態勢。感染の有無を調べる検査に加え、陽性者が出た場合は保健所と連携し、病院への搬送や濃厚接触者の調査が必要になる。

 南陽市内には保健所がなく、約15キロ離れた米沢市にある県の保健所が管轄している。管内にほかのホストタウンもあり、選手らに多数の感染者が出れば、地域医療を圧迫しかねない。

 市の担当者は不安げに言った。「今後の感染状況によっては、バルバドス側から『来訪を取りやめ、安全な選手村にいたい』との声が上がるかもしれない」

■絆深める

 コロナ禍で、選手を受け入れた経験を持つのは、モンゴルのホストタウンの静岡県焼津市。2月に合宿で来日したパラリンピックの陸上選手ら6人が、感染拡大で帰国できなくなり、6月まで担当職員が、専用車両で練習場に送迎した。

 来夏には、数十人が事前合宿する予定。市スポーツ課の松永年史課長(57)は「本番に臨む選手や、住民を絶対に感染させないという気持ちで受け入れる。安全な練習環境を提供できれば、互いの絆はさらに深まるはずだ」と強調した。

延期決定後も20自治体登録

 ホストタウンは五輪・パラリンピック史上初の試みで、東京大会の盛り上がりを全国に広げ、大会後も幅広い交流を続けてレガシー(遺産)にするのが狙いだ。10月30日時点で507自治体が179か国・地域の受け入れを決めており、このうち20自治体は3月の大会延期決定後に登録した。

 コロナ禍で直接顔を合わせての交流はできないが、オンラインなどでの交流が続く。10月にボリビアの受け入れを決めた東京都墨田区は、中学生の応援メッセージ動画を送るための準備を進めている。区の担当者は「大会後も続くような関係を築きたい」と話した。

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1627367 1 東京オリンピック2020速報 2020/11/15 05:00:00 2020/11/16 00:08:51 2020/11/16 00:08:51 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201115-OYT1I50027-T.jpg?type=thumbnail
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