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東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会と東京都、国は4日、大会延期に伴う費用約2940億円の分担を決めた。国が新型コロナウイルス対策費(960億円)の約6割を負担する一方、そのほかの追加経費(1980億円)の約4割を都が支出することで折り合った。コロナ対応で支出がかさむ都と、五輪後、海外客の受け入れをにらむ国の思惑が重なった形だ。
「率直に言って、上手にまとめられた」。小池百合子都知事、橋本五輪相と会談後、組織委の森喜朗会長(83)は満足そうに語った。
開催都市の都は、感染拡大後、医療体制の強化や、休業要請に応じた事業者への「協力金」などに2兆円近くを投じる。「貯金」にあたる財政調整基金は3月に9345億円あったが、1662億円まで減った。
昨年末に試算された大会経費は1兆3500億円。過去最高の国内スポンサー料を見込む組織委と都が約9割を負担し、国の負担は国立競技場の整備費など1500億円にとどまった。
ただ、今回、国はコロナ対策費560億円など、延期費用の2割超の計710億円を負担すると表明。このほか、選手が入国する際の検査費なども拠出する方針だ。都幹部は「期待以上に国が出してくれる。納得できる額だ」と評価した。
国が負担増に踏み切った背景には、東京大会後、外国からの観光客の受け入れを再開し、経済再生につなげたいとの思いがある。
政府関係者は「延期経費を巡って都と争えば、開催の機運そのものがしぼみかねない。迅速に合意する必要があった」と語った。
1030億円を負担する組織委は、台風などに備えた予備費や、延期に伴う保険金などで賄う。もう一つの収入の柱である追加協賛金について、スポンサーから十分に集められるかを懸念する声も上がる。
都の関係者は「組織委が支払えなければ、最終的に都が負担を迫られる。これで決まったと安心はできない」と話した。