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スポーツ庁と国立スポーツ科学センター(JISS)が来年度、新型コロナウイルスの感染拡大がアスリートの競技力へ及ぼした影響について、同一選手の追跡調査など本格的な研究に着手することが分かった。疫病による長期間の活動自粛は前例がないため、震災なども含む今後の同様のケースに備えて、指導者や選手に提示できる具体的な対処法の確立を目指す。

研究は、二つの分野で進める。テーマは、活動制限による心身の変化と、新たに生み出されたトレーニング方法の効果だ。
心身の変化は主に夏季及び冬季五輪・パラリンピックを目指す選手が対象。個人、団体、球技系、採点系など種目の幅を広げて選手を抽出し、感染拡大の前、活動自粛中、現在といった節目の精神状態と技術・体力のレベルを、聞き取り調査と筋力・心肺機能測定などで調べる。調査は定期的に継続し、データとして蓄積する。人数や人選、頻度や期間などは今後詰める。
一方、同庁とJISSは新たなトレーニング方法を取り入れている競技団体や選手に着目し、一層の効率アップや他競技への応用について、可能性を探る研究に乗り出す方針だ。
ソフトボールは仮想現実(VR)を駆使し、選手が専用ゴーグルに映し出された米国代表の投球に合わせて打撃練習に取り組んだ。自転車競技では周囲にコース映像が広がる室内で、固定された車両にまたがり、走行練習を積んでいる。自転車の例にJISSの施設である風洞実験棟を組み合わせ、より現実に近く感染リスクの低い練習環境を提供する構想もあるという。JISSの久木留毅センター長は「知見は、一般の方々の健康維持にも生かせる。