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オリンピックイヤーが再び明けました。読売新聞の紙面では東京大会の代表内定選手や有力選手が登場して、新年への思いを語っています。コロナ禍が依然続いていますが、今月4日は東京大会開幕まで「あと200日」でしたし、23日には半年前を迎えます。「その日」に向けた決意を読売新聞の運動面などから集めてみました。
柔道・阿部「妹と金メダル」、クライミング・原田「強い姿見せる」
昨年12月に代表選考で大きな動きがありました。

柔道で唯一、東京大会の代表内定選手が決まっていなかった男子66キロ級で「ワンマッチ」による決定戦が行われ、阿部
丸山選手に勝利した直後、感涙にむせんだ阿部選手。今月5日、報道各社のオンライン取材に応じ、「最高に輝く1年にしたい」と抱負を述べました。年末年始は実家のある神戸市で過ごし、妹で女子52キロ級代表内定の阿部
一方、原田選手は複雑な立場でした。最後の1枠となる2人目について、日本協会は「(世界選手権後に)複数の選考会を経て決める」としていましたが、国際連盟は唐突に原田、野中の両選手を「出場権獲得選手」として公表したのです。日本協会は国際連盟が一方的な解釈変更を行ったとしてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴、係争は1年以上にわたり続きました。日本側の主張が棄却されて正式内定となった原田選手は、可能性を信じて練習してきたライバルたちに思いをはせ、「チャンスを失った仲間もいる。今後、同じような状況になってほしくない」とコメントしました。
あれから約1か月後の今月11日、原田選手は成人の日の関連イベントに参加しました。オンライン取材にも応じ、大阪本社発行の朝刊運動面には「(コロナ禍の)現状が続くかもしれないが、自分を強く保ち、2021年は今まで以上に強い姿を見せたい」との抱負が掲載されました。
イベントで元サッカー日本代表の中田英寿さんらと意見を交わし、「周りの声を気にせず、自分のやりたいことに打ち込むという考え方は、自分と重なると思った」とも語っています。
マラソン・中村「表彰台狙う」、競歩・荒井「五輪の素晴らしさ自国で」

陸上では元日、全日本実業団対抗駅伝(群馬県庁発着=7区間100キロ)に出場した男子マラソンの代表2人が快走を見せました。エース区間の4区(22.4キロ)に起用された富士通の中村匠吾選手は、残り3キロ付近からのスパートで5連覇を狙った旭化成などを突き放し、チームの12年ぶり3度目の優勝に貢献しました。
東京大会への弾みとなり、「五輪の表彰台を狙うために練習の質を上げてきた。苦手だったスピード持久力もついたと思う」と手応えをつかんだ様子でした。また、5区(15.8キロ)ではトヨタ自動車の服部勇馬選手が区間賞を獲得する力走で、チームの総合2位につなげました。
元旦競歩大会(神宮外苑絵画館周回路)の男子20キロの部では、16年リオデジャネイロ大会50キロ競歩で「銅」を獲得した実力者で、東京大会代表入りを狙う荒井
昨年8月のお盆、小布施町の実家に帰省した荒井は、家族からこんな言葉をかけられた。「ああ、一般の人はそうだよな」と印象に残った。
普段の生活はスポーツに関わる人たちと接することがほとんどで、五輪が開かれることを当然の前提として動いている。それまであまり意識することのなかった五輪開催を疑問視する世の中の空気を肌で感じたような気がした。
荒井は東京五輪について「やってほしいけれど、何が何でもやらなきゃいけないとは思っていない。あくまでも安全があっての五輪」と冷静にみる。一方、「想像より素晴らしく、言葉では言い表せない。自国開催でさらに特別なものになる」。リオの経験から、五輪がアスリートにとって特別な舞台であることも知っている。
東京五輪の男子50キロ競歩の出場権は残り1枠。4月に予定されている日本選手権50キロ競歩(石川県輪島市)が最終選考会となる。若手のレベルアップが急激に進んでいるが、「普段よりプレッシャーがかかる。しっかり自分を保ち、スタートラインに立てた人が一番強い」と慌てる様子はない。

広島・鈴木誠「日本のために」、中日・大野雄「五輪あると思って準備」
3大会ぶりのオリンピック復活となる野球。広島の主砲、鈴木誠也外野手はインタビュー記事でセ・リーグのペナント奪還への決意とともに、東京大会への熱い思いも告白しています。

「(日本代表に)選んでもらえるなら絶対行きたい。日本のために頑張りたい。短期決戦になるし、(五輪は)独特(の雰囲気)だと思う。他競技では金メダルを取っている日本人選手も多い。僕も1個欲しい」
「五輪になると、どのチームもメダルを狙ってくる。台湾や韓国などアジアのチームには、特に負けたくない」とも語っており、19年の国際大会・プレミア12で日本代表「侍ジャパン」の4番を務めた主力の気概が感じ取れます。
昨季、セの最優秀防御率と最多奪三振の2冠に輝き、プロ野球で最も優れた先発完投型投手に贈られる沢村賞も受賞した中日の大野雄大投手の意気込みは、8日付の愛知・岐阜・三重の各県版に掲載されました。
「去年のことはもう忘れているというか、毎年レベルアップしていくのがプロ野球の世界なので、自分もレベルアップしていかないと置いていかれる」と気を引き締め、東京大会に向けては「(大会が)あると思って準備していく。金メダルを取る一員でありたいとずっと思っているので、(プロ野球の開幕後に)スタートダッシュして、選んでいただけるようにやっていきたい」と話しています。
決意を文字に…トランポリン・森「やりきる!!」、体操・北園「達成」
トランポリンの女子代表に内定している森ひかる選手(金沢学院大ク)は7日、報道各社のオンライン取材に応じました。
昨年は、オリンピックが延期となり大会中止も相次いだ影響で、練習に身が入らない日も多かったといい、2021年の年明けの瞬間は東京都内の実家で、「3、2、1で頑張るぞ!」とかけ声を出し、ジャンプして迎えたといいます。
4日から練習を再開しています。メダル獲得に向けて昨年より高い難度の演技構成に挑戦中で、「完成度を上げていく。観客の心を動かせる演技をしたい」と話しました。大阪本社発行の8日付朝刊運動面には、「甘やかさずやりきる!!」と新年の抱負を記した色紙を手にする森選手の写真も掲載されています。

体操男子で代表入りを目指す大阪・清風高3年の北園
昨年末の全日本選手権は個人総合で2位となっています。「日本のトップ、世界での金メダルが見えてきた」と振り返り、コロナ禍については「環境に合わせて、やれることをするのがアスリート」と話しています。
感染乗り越え/新天地で挑戦
コロナ禍が収まらないなか、感染してしまった選手もいます。オリンピック代表の有力候補で、イタリアでプレーするバレーボール男子の石川祐希選手(ミラノ)は昨年12月上旬に感染が明らかとなり、自宅療養を経て年末にチームに合流したといいます。
年明け4日にオンライン取材に応じ、味覚や嗅覚の異常が残っていることを告白しました。ただ、実戦復帰も果たしており、「五輪のことは頭の片隅にはあるが、今はそれ以上にここ(イタリア)で結果を出すことにこだわっている」とし、「チームに頼られる存在になりたい」と話しています。
東京大会の延期を受けて、変化を求めた選手もいます。ソフトボールの藤田
藤田投手は正確なコントロールとキレのある変化球が武器の右腕で、豪快な打撃も売りの「二刀流」。7日のチーム初練習後にオンラインでの記者会見を開き、「上野さんからたくさんのことを吸収して、肩を並べられるような投手になりたい」と更なる飛躍を誓っています。