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東京五輪あと半年 クライミング代表 野口啓代 × マラソン「金」 野口みずきさん

  
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啓代 「金」へ追う立場 重圧感じない

みずき 前向きに 努力は裏切らない

壁の前で初対面した野口みずきさん(右)と野口啓代。互いの印象を、みずきさんは「キラキラしてオーラがある」、啓代は「言葉に説得力がある」(茨城県龍ヶ崎市で)
壁の前で初対面した野口みずきさん(右)と野口啓代。互いの印象を、みずきさんは「キラキラしてオーラがある」、啓代は「言葉に説得力がある」(茨城県龍ヶ崎市で)

 今夏の東京五輪は23日で開幕半年前となった。選手らが昨年3月の大会延期決定後も開催を信じてトレーニングにいそしむ中、五輪新競技のスポーツクライミング女子で金メダルを狙う野口啓代あきよ(TEAM au)が、2004年アテネ五輪で女子マラソンを制した野口みずきさんと対談し、頂点を目指す心構えなどについて語り合った。

 (構成・平野和彦、写真・守谷遼平)

最高峰が集結 特別な雰囲気

対談中、「そうだ、アテネ五輪の金メダルを持ってきているんです」とみずきさん。手にした啓代は「かっこいい! たくさんの方に見ていただいたんでしょうね」
対談中、「そうだ、アテネ五輪の金メダルを持ってきているんです」とみずきさん。手にした啓代は「かっこいい! たくさんの方に見ていただいたんでしょうね」
アドバイスをもらいながら、初めてボルダリングに挑戦するみずきさん。「昔は綱登りの練習もしていましたが、引退してから体重が……」と笑いながらも、すいすいと身長(1メートル50)をはるかに超える高さまで登ってみせた
アドバイスをもらいながら、初めてボルダリングに挑戦するみずきさん。「昔は綱登りの練習もしていましたが、引退してから体重が……」と笑いながらも、すいすいと身長(1メートル50)をはるかに超える高さまで登ってみせた
啓代が練習で使うクライミングウォールには、これまでに訪れたアスリートらから激励の言葉が残されている。みずきさんも一筆。「努力は裏切らない!!」
啓代が練習で使うクライミングウォールには、これまでに訪れたアスリートらから激励の言葉が残されている。みずきさんも一筆。「努力は裏切らない!!」

 みずき「初めまして。(啓代の実家の練習場を見て)すごい施設ですね」

 啓代「(スピード、ボルダリング、リードの)3種目が練習できます。クライミングをされたことは?」

 みずき「初めて。登るのに握力は関係ありますか」

 啓代「握力より重心移動や体の使い方が重要で、脚の力をすごく使います」

 みずき「体幹かあ。腕で登るのかなと思っていましたが、逆なんですね」

 啓代「スポーツクライミングには出場した先輩もいないので、五輪のイメージがつかなくて」

 みずき「本当に特別な雰囲気。アテネ五輪後も、あの舞台に行きたいと思い、何度も挑戦しました」

 啓代「他の世界大会とは何が違いますか」

 みずき「あらゆる競技で世界最高峰の選手が集結するので、選手や応援する人のパワーが違いますね」

 啓代「クライミングでは苦手な課題が出てくることもあり、(本番に向けて)不安要素がゼロになったことはないです。みずきさんは、完璧な準備ができた状態で臨まれたということですよね」

 みずき「スタートラインに立った瞬間、『私がこの中で一番強い』と思えました。(練習で)走った距離にはすごく自信があったので、残り17キロもあるのにスパートをかけられました。啓代さんもストイックに練習するのでは?」

 啓代「結構、量を登ります。ホールドはザラザラしているので、いつも指の皮がなくなって出血するまで登っちゃって」

 みずき「勲章みたい。努力の証しですね」

暑さの不安 表に出さず

 啓代「東京五輪の会場は屋外なので暑いと思うのですが、暑さ対策はどうされていましたか」

 みずき「そこまでしていないんですよ。内臓を疲労させないために、涼しいスイスで質の高い練習をしていました。アテネのコースは起伏が激しいので、その対策もしたかったですし」

 啓代「意外! 暑い中で、たくさん走っていたのかと思っていました」

 みずき「そういえば、五輪のスタート直前、当時の世界記録保持者のラドクリフ選手(英)がアイスパックを体中に当てているのを見て、(ラドクリフの)暑さへの不安を感じました」

 啓代「対策を万全にしているのではなくて?」

 みずき「慌ててやっているように見えたので、『平常心ではないのかな。私はそういうところは絶対に見せないぞ』と」

大会のたび 強くなりたい

 啓代「追いかける立場で、プレッシャーは感じていないんです。世界選手権で金メダルの選手の方が絶対、重圧はありますから」

 みずき「私は『次の日、死んでも悔いが残らない』と思えるくらい闘争心を燃やしていました。練習が120%で、レースが100%という気持ちでした」

 啓代「すごい! そこまで練習で力を出し切れた一番の原動力は何でしたか」

 みずき「応援が力になったのと、負けず嫌いというのがあったと思います。監督やコーチにきつい言葉を投げかけられても『絶対ぎゃふんと言わせてやる』と。啓代さんはどうですか」

 啓代「ワールドカップには16歳から出ているのですが『31歳の今が最強』でいたいという気持ちです。練習のたび、大会のたび強くなっていたいと思います」

 みずき「素晴らしい。もう十分頑張っているけど、前向きな強い気持ちがあった方が絶対にいいです」

 啓代「金メダルを取った方に話を聞くと『まだまだ足りない』と思わされます」

 みずき「その向上心があれば期待できます。あっ、でもプレッシャーは感じないで。いつまでも挑戦者の啓代さんでいてください」

 啓代「ありがとうございます。説得力が(半端ではないという意味で)やばいですね」

 この対談は昨年11月25日、野口啓代の実家の練習場(茨城県龍ヶ崎市)で実施。新型コロナウイルス感染防止のため、会話は数メートルの距離を保って行いました。

 のぐち・あきよ 得意のボルダリングでワールドカップ(W杯)日本人女子初優勝を果たすなど、W杯通算21勝。東京五輪で実施される複合(スピード、ボルダリング、リード)では、2019年世界選手権で日本勢最高の2位に入り、五輪日本代表に内定した。1989年生まれ、茨城県出身。

 のぐち・みずき 2003年世界選手権女子マラソンで銀メダルを獲得し、翌04年のアテネ五輪で優勝。05年に2時間19分12秒のアジア記録を樹立した。16年に現役を引退し、現在は岩谷産業陸上部のアドバイザーを務める。1978年生まれ、三重県出身。

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