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島根にトーチの火は
「アスリートやランナーの皆さんには大変申し訳ないが、状況を考えると、実施すべきとは言えない」
リレーの県実行委員会後の記者会見で、丸山知事は言葉を選ぶように語った。
丸山知事は感染再拡大以降、政府などの対応を厳しく批判。東京都で感染経路を追う調査が簡略化されている問題では、今月3日、厚生労働省に要請書を提出。調査や情報提供を求めたが、現在も回答がないという。
会見では、地方へのコロナ支援に不満を漏らし、「客が来ないのは感染拡大地域と変わらない。感染対策ができている地域が捨て置かれている」と強調した。
会見を見守った県幹部の一人は「賛否はあるだろう」とした上で、「県内でもコロナ禍で大きな影響が出ている。県民目線で声を上げてくれた」と語った。
県広聴広報課によると、同課の把握分で午後2時までに約30件のメールやファクスが寄せられた。半分以上は賛成意見だという。
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県内を走るランナー内定者は複雑な心境を明かす。
被災地や県内の保育所でケーキを贈る活動を続ける雲南市の飲食店経営者(73)は、「週4回は約3キロ走るなど練習してきたので残念。だが、知事も県民のことを考えてのこと。中止になったとしてもやむを得ない」と話した。
大阪府在住で、県出身のミュージシャン(38)はネットニュースで中止検討を知り、「感染リスクはあるが、日本を元気にするために走りたい気持ちはある。きちんと対策を講じて実施できれば一番良い」と語った。
ただ閑散とした県内の飲食店街の写真を見て、「緊急事態宣言の出ている大阪と同じだった。地域差が出ないような支援が必要ではないか」と話す。
県内自治体の首長からも発言が相次いだ。松江市の松浦正敬市長は「市町村に意見を聞かず、中止発言をするのはいかがなものか。情報を整理し、関係者の意見をまとめたい」とした。
浜田市の久保田章市市長は、「国などに、コロナ対応で地方にもしっかり目配りをして応援してほしいとのメッセージではないか」と分析。「浜田も水産関係で、東京方面の購入が減るなど、影響がある。自治体首長として共感する部分はある」と述べた。
安来市の田中武夫市長は、「真意が分からないので何も言えない。市長会の動きを見ながら、市での対応を考えたい」と語った。また、雲南市の石飛厚志市長は「リレーを期待する市民の声はあるが、知事が言うような宣言対象地域と、それ以外の支援格差について、国がどう対応するのかを注視したい」と話した。