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東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の新会長に18日、五輪相を務めてきた橋本聖子氏(56)が就いた。女性に対する不適切な発言で前会長の森喜朗氏(83)が辞意表明して6日。過去7回五輪に出場し、女性としても新たな道を切り開いてきた「五輪の申し子」の就任に、関係者からは期待や注文の声が相次いだ。
全会一致

「私の任務は安全最優先の大会を実現し、アスリートが迷うことなく夢の舞台に立てるように、今の社会の空気を変えていくことだ」。橋本氏は18日夕、就任の記者会見でこう述べ、新型コロナウイルス対策を最重要課題に挙げた。
森氏は今月3日、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言し、国内外から批判を浴びて12日に辞任した。橋本氏は、自分に国政入りを勧めた森氏について、改めて「あってはならない発言」と批判する一方、「政治の師で、大変特別な存在。正すべきものと、継承するものを区別してやっていきたい」と話した。
組織委の「候補者検討委員会」で座長を務めた御手洗冨士夫・名誉会長(85)はこの日、記者会見で、知名度の高い元アスリートであり、大臣を務めていることなどを理由に、全員一致で橋本氏を新会長候補に推したと説明した。
期待と注文
森氏の不適切発言後、活動を辞退するボランティアが相次ぎ、多くの人が後任に注目していた。
道案内などをする埼玉県三郷市の大学4年生(22)は「日本は女性を軽視するというイメージを世界に持たれてしまったので、橋本さんに一掃してもらいたい」と要望。救護などを担うさいたま市の主婦(64)は「政治経験も長く、国際オリンピック委員会(IOC)などとの交渉もうまくやってくれるのではないか」と期待した。
聖火リレーの出発が来月25日に迫る福島県の内堀雅雄知事(56)は、橋本氏について「一連の騒動で国民の心が東京大会から離れている。多くの方々が一緒になって取り組める態勢づくりに全力を注いでほしい」と注文をつけた。
橋本氏は昨年12月、五輪相としてオーストリアのホストタウンである栃木県那須塩原市を視察した。その際、懇談した中学3年生(15)は「とても気さくで、自分の名前を呼んでくれた。ぜひ活躍してほしい」とエールを送った。
一方、東京都の小池百合子知事(68)は、橋本氏の会長就任を受け、「アスリート目線での大会運営」と「大会の理念である『多様性と調和』の具体化」に期待を示すコメントを発表した。