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25日に始まった東京五輪の聖火リレー。神戸市では1964年の東京五輪で走れなかった人たちが、半世紀越しの夢をかなえようと待ちわびる。

「もう一度、聖火リレーと縁ができるなんて」。中西鈴子さん(71)(兵庫県加古川市)はトーチを掲げる日を心待ちにする。

兵庫県西宮市立中の3年生だった当時、卓球で市大会に優勝したことが評価され、走者に抜てきされた。ユニホームを着て記念撮影した写真が残る。「高校生に交ざって選ばれ、誇らしかった」
1964年の聖火リレーでは、兵庫県庁―大阪府庁(約40キロ)を9月25日、中高生ら700人近くが走る予定だったとされる。しかし、九州に上陸した台風で風雨が強まり、前日に中止が決定。中西さんは「あまりのショックで、その前後に何をしたか記憶がない」と振り返る。

その後、リレーのことは胸の奥にしまっていたが、2度目の東京五輪開催が決まり、「また走りたい」との思いが湧いてきた。台風で走れなかった人たちが2017年、リレーへの参加を目指す「56年目のファーストランの会」を結成したと知り、「同じ思いをしている人がいる」と連絡を取った。