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「まさか」「せっかくここまで用意してきたのに」――。本番まで1週間を切った7日、大阪府内の公道での東京五輪の聖火リレーが急きょ、中止されることになった。開催に向けて準備を進めてきた各自治体には、驚きや戸惑いが広がった。
13、14両日に予定されていた府内の聖火リレーで、スタート地点となるはずだった堺市は、「世界遺産登録をPRする絶好の機会」として、仁徳天皇陵古墳前を通る約3・3キロのコースを設定していた。
出発式では、隣の大仙公園で聖火のランタンから第1走者のトーチに点火。中高生が演奏で盛り上げ、約200人のボランティアが、観客の整理に当たる予定だった。
吉村知事が中止を表明した7日午後、リレー当日の活動内容を聞きに堺市役所を訪れていたボランティアの女性(34)は「幼い娘に将来、『お母さんもあの聖火リレーをお手伝いしたよ』と伝えたかったのに……」と絶句。当日着用するはずだったTシャツを、「せめてもの記念に」と持ち帰った。
市では新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大声での応援禁止を呼びかけるためのボードを6日に作製したばかり。市スポーツ部の松本ゆり部長は「今まで準備を重ねてきた方々に申し訳ない」とうなだれた。
13日にリレーを予定していた枚方市では、7日夕もリレーの横断幕が掲げられたままになっており、担当者が対応に追われた。
東大阪市では、走行ルートの近鉄奈良線河内花園駅前などに横断幕や交通規制の立て看板が設置されているが、中止決定を受け、撤去される見通しだ。
14日にリレーが行われるはずだった羽曳野市では、近鉄古市駅前で走者を送り出す式典が企画され、地元の太鼓グループやダンスチームがパフォーマンスを披露し、市民ら約250人が観覧する計画だった。
式典の進行内容などの詰めをしていたさなかの中止に、市の担当者は「参加団体や市民らに職員が手分けをして連絡することになりそう。皆さん、とても楽しみにしていたのに」と肩を落とした。