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元小学校長、豪雨被災の町の「復興を願って」

  
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 東京オリンピックの聖火リレーが19日、岡山県内で始まった。新型コロナウイルスの感染拡大で公道でのリレーは中止となり、聖火を隣の人に受け渡す「トーチキス」方式による代替の式典が岡山市の岡山城下の段で実施された。20日は津山市の津山中央公園グラウンドで、同様の方式で開催される。

 西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市真備町の川辺小学校の校長を最後に、今春、38年間の教師生活を終えた矢掛町の本多卓郎さん(60)は、式典に笑顔で臨んだ。

真備の復興を願う本多さん。妻の理恵さん(左)に見守られ聖火をつないだ
真備の復興を願う本多さん。妻の理恵さん(左)に見守られ聖火をつないだ

 岡山大教育学部で自然地理を専攻後、両親と同じ小学校教諭の道に進んだ。「とびきりの笑顔を、子どもたちが学校で見せる瞬間がある。成長に立ち会える」のが仕事の喜びだった。一年一年を懸命に過ごし、定年までに九つの小学校に勤め、担任した教え子は750人を超える。

 2018年7月の西日本豪雨では、校舎は1階天井近くまで浸水。児童297人のほぼ全員の自宅が被災した。水際から救助活動を見守り、助け出された子どもたちに「よく頑張った」と声をかけた。

 別の小学校を間借りし授業を再開した後も、自宅や教科書を失い、精神的に不安定になっていた子どもたちに寄り添った。「勉強できる場所を確保し、学校再開への道筋を示してあげることが、とにかく大切だった」と振り返る。

 退職後は真備公民館長に就任。荒れた教室で取っ組み合った男児が、約20年を経て再会すると、地域で復興に尽くす父親になっていた。「真正面から受け止める教育は間違っていなかった」と胸が熱くなったという。

 聖火リレーの走者に応募したのは、支援に訪れてくれたボランティアらへの感謝を表すとともに、走ることで復興した被災地が世界とつながっていることを、全身で教えたかったからだ。本番に備え約2年間、自転車やジョギングを続けてきた。

 公道でのリレーは中止になったが、式典では教え子から退職の記念でプレゼントされた赤いランニングシューズを履いて参加。妻の理恵さん(60)も、子どもや孫が「真備の復興を願って」などと記した寄せ書きを手に見守った。

 誇らしげに聖火をつないだ本多さんは「ここまでつながってきたリレーのように、明るいあしたを信じて、今できることを一生懸命やれば、未来もつながる」とすがすがしい表情で語った。

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2065036 0 東京オリンピック2020速報 2021/05/20 09:48:00 2021/05/20 11:12:34 2021/05/20 11:12:34 真備の復興を願う本多卓郎さん。被災地支援への感謝の思いで聖火をつないだ(19日午後、岡山城で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210519-OYT8I50107-T.jpg?type=thumbnail
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