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支えてくれたデニムの街へ恩返し

  
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 東京オリンピックの聖火リレーが19日、岡山県内で始まった。新型コロナウイルスの感染拡大で公道でのリレーは中止となり、聖火を隣の人に受け渡す「トーチキス」方式による代替の式典が岡山市の岡山城下の段で実施された。20日は津山市の津山中央公園グラウンドで、同様の方式で開催される。

聖火のともったトーチを掲げる佐藤さん
聖火のともったトーチを掲げる佐藤さん

 デニム生地が特産の岡山県井原市で、縫製工場を営む佐藤美保さん(56)。走ることはかなわなかったが、聖火をつなぐ役割は果たした。式典終了後、「応援してくれた井原の人たちにトーチを見せ、五輪の雰囲気や楽しさを分かち合いたい」と胸を張った。

 走り始めたのは6年前。「娘から、東京マラソンに一緒に出ようと誘われた」のがきっかけだった。地域でまちおこし団体の代表を務めており、周囲の薦めもあって、聖火ランナーに選ばれた。

 縫製工場は約30年、夫とともに営み、デニムパンツなどを受託生産してきた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が状況を一変させた。

 東京五輪の延期が決まった後の昨年4月、工場への注文が来なくなった。新たな収入を確保しようと、夫は別の仕事を始めた。「工場は、残務処理が終われば閉めよう」と考えていた。「聖火リレーのことを考える余裕はなくなっていた」

 苦境をしのぐ契機となったのは、関連業者の友人に誘われて始めたデニム地の夏用マスクの製造、販売だった。エコバッグのデザイン、製造など新規事業にもチャレンジしているうちに衣類の注文も入るようになった。「閉めるつもりだったのに、新しいミシンも入れて続けている」。厳しい経営環境をたくましく生きている。

 福島県で聖火リレーが始まると、井原の人たちは晴れの舞台のためにと、応援の横断幕を作ってくれた。「暗い話題が多かったこの1年。私が走ることで地域のみんなに楽しんでもらえたら」

 その思いは実現できなかったが、「周囲への恩返しに」と、聖火を受け取った後、最後に大きく一礼した。記念のトーチとユニホームは、地域の学校や公民館に展示してもらい、多くの人たちに見てもらうつもりだ。

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2065039 0 東京オリンピック2020速報 2021/05/20 09:48:00 2021/05/20 11:31:16 2021/05/20 11:31:16 聖火ランナーを務める(0520114)佐藤美保さん(19日午後3時10分、岡山市北区で)=前田尚紀撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210519-OYT8I50110-T.jpg?type=thumbnail
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