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妻が伴走、車いすで進む夢の道…砲丸投げ(座位)日本記録保持者・森卓也さん

  
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 東京五輪の聖火リレーが21日、鳥取県内で始まった。新型コロナウイルス対策で多くのルートが短縮された中、ランナーたちはそれぞれの思いを抱きながら、境港市から倉吉市まで聖火をつないだ。22日は琴浦町を出発し、鳥取市でゴールする。

妻の美香さん(左端)とともに聖火リレーを走り終え、感想を語る森さん(鳥取県倉吉市で)
妻の美香さん(左端)とともに聖火リレーを走り終え、感想を語る森さん(鳥取県倉吉市で)

 車いす生活を送りながら、第一線で競技を続けている森卓也さん(46)は、グループランナーの一員として、倉吉市を走った。

 神戸市長田区出身。幼少時から下半身に違和感を感じていた。しゃがんだり、長時間歩いたりすると両足がしびれた。それでも、小学校低学年から水泳にサッカー、野球、柔道とスポーツに励んだ。

 20歳の時、阪神大震災で自宅が半壊し、親戚宅で避難生活を送った。2年後に米子市に移り住んだ頃から下半身の痛みは激しさを増した。先天性の脊柱管狭窄きょうさく症との診断が下り、医師から「将来は車いす生活を覚悟してください」と通告された。

 その後、手術と入院を繰り返す日々が10年以上続いた。長い時には半年間も床に伏し、天井を見つめながら不安だけが募った。「これからいったいどうなるのだろう……」。治療のために定職に就けず、治療費を稼ぐために朝はチラシ配り、昼はトレーニングジムの手伝い、夜はネットカフェの店員と、痛みと闘いながらアルバイトを掛け持ちした。

 下半身に力が入らなくなり、35歳から車いす生活になった。だが、悲しくはなかった。「『また、ひどい痛みが出たらどうしよう』と毎日不安だったけど、下半身がまひして痛みを感じなくなったことで、逆にこれから先のことが考えられるようになった」。やりたいことが次から次へと出てきて、前向きになれた。

 リハビリの一環で上半身の筋力トレーニングをしており、「自分は今、どこまでできるのか」という素朴な疑問から40歳で砲丸投げ(座位)を始めた。半年後、和歌山県で行われた全国障害者スポーツ大会(2015年)で8メートル77を投げ、大会新記録で優勝。今では9メートル50の日本記録を持つ。

 聖火リレーでは、妻の美香さん(41)が伴走した。自身の半生を語る講演会を聞いてくれていたことが縁となり、今年1月に結婚した。「車いすに乗った時から、自分の人生は始まった。これまでの出来事を思い浮かべながら走りました」と誇らしげだった。

 (妻鹿国和)

妹の小春さん(右)と聖火を運んだ岩田さん(南部町で)
妹の小春さん(右)と聖火を運んだ岩田さん(南部町で)

挑戦の大切さ伝える…筋ジストロフィー患う岩田真帆さん

 先天性の「筋ジストロフィー」を患う南部町の岩田真帆さん(20)は、電動車いすにトーチを取り付けて聖火を運んだ。

 全身の筋肉が徐々に衰えていく難病。現在はほぼ寝たきりの生活だが、分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を通じて登山客と同じ景色を見ながら大山を登るなど、様々なチャレンジを続けている。

 どちらかと言えばおとなしい性格だったが、高等部から通った県立皆生養護学校で担任に背中を押されて、生徒会長を務めた。「やってみたら、意外とできないことはなかった」。徐々に自信がつき、「挑戦できることはしたい」と言えるように。リレーについては「延期のおかげで、20歳の記念として走れるようになった」とユーモアたっぷりに話していた。

 この日は、妹の小春さん(17)が伴走。一緒にトーチキスで聖火を引き継ぎ、岩田さんに代わって小春さんが沿道に向かって手を振った。「もちろん、自分だけでは無理なこともあるけど、『障害があってもできることはある』って多くの人に伝わったらうれしい」と話し、「今度は講演活動もやってみたい」と言葉に力を込めた。

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2070235 0 東京オリンピック2020速報 2021/05/22 05:00:00 2021/05/22 05:00:00 2021/05/22 05:00:00 聖火リレーを走り終えた感想を話す森さん(倉吉市駄経寺町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210521-OYT8I50102-T.jpg?type=thumbnail
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