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[スキャナー]五輪テスト大会、選手と外部遮断に課題…「バブル方式」本番成功の鍵

  
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水泳・飛び込みW杯の練習時間に、選手は順番待ちのため、密接して列を作った
水泳・飛び込みW杯の練習時間に、選手は順番待ちのため、密接して列を作った

 東京五輪は23日、開幕2か月前の節目を迎え、各競技の運営手順などを確認するテスト大会は、いずれも日付未定のアーティスティックスイミングと水球を残すだけとなった。新型コロナウイルス対策に力を入れる中で、感染防止策の実効性確保など、本番に向けた課題が浮き彫りとなった。(大阪運動部 平野和彦、運動部 工藤圭太)

◆啓発欠かせず

 国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会のジョン・コーツ委員長は21日、記者会見で東京都が緊急事態宣言下でも五輪を開催するかと問われ、「イエス」と答えた。IOCは、選手村滞在者の80%以上が開幕までにワクチンを接種する見通しだと表明していた。コーツ氏は自信の根拠として「宣言下でテストイベントを実施し、成功したと報告を受けた」とも付け加えた。確かに選手から感染者は出なかったものの、現実はやや異なっていた。

 東京都に3度目の宣言が出された後、5月に入ってテスト大会計11大会が主に移動経路や競技会場などを外部から隔離する「バブル」方式の下で行われた。水泳・飛び込みワールドカップ(W杯)(1~6日・東京アクアティクスセンター)は、約40の国と地域から選手約200人が来日し、入国時と翌日からの3日間は毎日、その後は2日に1度、ウイルス検査を受けた。

 「バブル」はウイルス流入だけでなく、内部の拡散防止も重要だ。W杯初日の試合前練習で選手が順番待ちの列を作り、大会運営側の注意で解消した。しかし、選手団は叫び声を上げ、マスクなしで抱き合い、集団で記念撮影に臨んだ。国際水泳連盟の担当者は「全ての人にルールを守ってもらうのは、なかなか難しい」とこぼした。IOCは選手ら向けのウイルス対策指針「プレーブック」に「違反者は資格剥奪はくだつもあり得る」と明記したが、事前の啓発活動強化も欠かせない。

◆陰性証明なし

 また、トラブル発生時のスムーズな連絡体制、速やかな対処の仕組みを整備しておく必要もありそうだ。

 陸上トラックのテスト大会(9日・国立競技場)で、主催の五輪・パラリンピック大会組織委員会は全国各地から集まる日本人選手に対し、前日練習から遡って72時間以内に検査用の唾液を採取して指定検査機関宛てに投函とうかんするよう求めていた。ある日本人選手は指示通りの手続きを踏んで8日、練習のためにサブトラックを訪れたところ、「検査結果が届いていない」として入場を断られた。

 押し問答の末、選手は「他者がいないエリアで」を条件に入場と練習を認められた。陰性証明なしで入場すると、「バブル」は成立しない。五輪は主に選手村の施設で検体を採取するため、同様の問題に直面しないが、不測の事態は大型イベントの「宿命」だ。組織委は「様々な角度からテストできるようあえて運営に負荷がかかる環境を作った。事例を本番の計画に生かしたい」と説明した。

 7月23日の五輪開会式までに残された時間は、ごくわずか。感染対策に詳しい国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は「検査をきちんとできるか、どこまで行動を制限できるか、その権限と責任を誰が持つかなど課題は多い。組織委は国民が納得できる方策を練り、情報を発信する必要がある」と指摘している。

政府、行動管理を徹底へ

 政府は、東京五輪・パラリンピックで入国する選手や大会関係者の行動管理を徹底する。海外からの変異型ウイルス流入に懸念が高まっており、開催反対論にもつながっているためだ。

 丸川五輪相は21日の記者会見で、「行動管理は非常に大きな課題だ。現場で確認するということに重きを置く」と述べ、「目視」によるチェックを徹底する必要性を強調した。

 政府が特に警戒しているのが、選手以外で計約7万8000人が入国すると見積もっている大会関係者だ。選手村などに事実上「隔離」される選手と異なり、ホテルなどに拠点が分散する上、競技会場や練習場所以外を訪れる可能性もあり、行動を予測しにくいためだ。大会組織委員会は関係者に対し、入国後14日間、ホテルなどでの待機を求め、スマートフォンのアプリによって位置情報を把握する。さらに、目視チェックのため、民間委託する「監視員」をホテルなどに配置する方針だ。

 ただ、待機が厳守されるかどうかは不透明だ。目視チェックも、「7万人以上いる全員の行動を追跡することは不可能」(組織委関係者)なのが実情だ。

 政府は現在、日本人の帰国者らにも14日間の待機と、居場所や健康状態の報告を求めているが、約3割が居場所の報告をしていないことが判明している。

 言語も文化も異なる多様な国・地域から来日する関係者の行動管理は、「日本人帰国者よりも難しいオペレーションとなる」(政府高官)とみられる。

 このため、政府は、大会関係者の入国時に行動計画の提出と順守、位置情報提供などに関する誓約書を書かせる。誓約書に違反すれば強制退去を含めた処分で臨むことにより、行動管理に実効性を持たせたい考えだ。(政治部 栗山紘尚)

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