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メスをトーチに持ちかえ走る医師「スポーツには人を後押しする不思議な力ある」

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 東京五輪の聖火リレーは、青森県内2日目の11日、十和田市から八戸市までの4市町を巡った。

沿道の観客に笑顔で手を振る藤田さん(十和田市で)=古林隼人撮影
沿道の観客に笑顔で手を振る藤田さん(十和田市で)=古林隼人撮影

 メスは手術で使い慣れているが、トーチを持つのはもちろん初めてだ。藤田聖一郎さん(56)は「沿道の人に夢中で手を振り返したことしか覚えていない」と笑った。

 1964年9月、日本中が前回の東京五輪の聖火リレーに沸く中で生まれた。「聖一郎」という名前が付いた理由だ。2020年大会の開催が決まった瞬間、「俺しかいない」と即座に聖火ランナーへの応募を決めたのも必然だったと思っている。

 生まれ故郷のむつ市で、地域の医療を支えている。下北地域は慢性的な医師不足で、脳卒中などの急患があれば、土日や深夜も関係なく対応した。新型コロナウイルスのワクチン接種が始まってからは、貴重な「打ち手」としても求められるようになった。

 忙しい日々を送る中、約200メートルのリレーはつかの間の気分転換となった。この日走った十和田市は、これまで縁遠く感じていた土地だった。走り出す直前まで、部外者の自分が十和田の街を走ることに、どこか後ろめたさも感じていた。

 だが、トーチを持って足を進めていくと、見ず知らずの市民の行列が笑顔で声援を送る姿が目に飛び込んできた。掲げた腕の先に聖火の熱を感じながら、夢中で手を振り返した。

 憧れだった五輪に関われたのは誇りだ。「スポーツには人を後押しする不思議な力がある。コロナで頑張るみんなにエールを送ろうと思って走ったが、逆に自分が元気と勇気をもらった」。そう語ると、患者たちの待つ地元へ駆け戻った。

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2119070 0 東京オリンピック2020速報 2021/06/12 05:00:00 2021/06/12 11:07:13 2021/06/12 11:07:13 沿道の観客に笑顔で手を振る藤田さん(11日、十和田市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210612-OYT8I50000-T.jpg?type=thumbnail
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