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被災地めぐって似顔絵描いた漫画家、感謝を込めた聖火リレー

 
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 東京オリンピックの聖火リレーが16日、岩手県内で始まった。1日目は雫石町をスタートし、東日本大震災で被災した久慈市までの10市町村で聖火をつないだ。県内のリレーは18日までの3日間。

 1日目のスタート地点の雫石町では、似顔絵や漫画で被災者を元気づけてきた同町の漫画家・そのだつくしさん(50)が聖火を手に駆け抜け、「これからも漫画を通して被災地のことを発信していきたい」と誓った。

笑顔で聖火ランナーを務める漫画家のそのださん (雫石町で)=川口正峰撮影
笑顔で聖火ランナーを務める漫画家のそのださん (雫石町で)=川口正峰撮影

 激しい揺れに見舞われた10年前のあの日、海から約80キロ内陸にある町内の仕事場にいた。テレビを見ると、海水浴で何度も訪れた海岸ががれきで埋もれ、言葉を失った。

 同じ県内に住みながら、自分は普段通り過ごしている。負い目を感じ、「生きていて申し訳ない」と思うことすらあった。

 震災から2か月が過ぎた頃、津波に襲われた大船渡市で被災したイラストレーターと知り合い、現地で似顔絵を描く活動を始めた。高齢の女性から化粧した自分の絵を頼まれ、「きれいに描いてくれてありがとう」と感謝されたことが忘れられない。約5年間で数百枚の似顔絵を描いた。

 地元住民の依頼で、コンテナにペンキや油性ペンで絵を描くこともした。車で往復4時間以上かけて通い、出会いの場になることを願ってカップルが誕生する絵や、イワシに乗って犠牲者の魂が帰ってくる絵を描いた。人が集まるようになり、避難で離ればなれになった友人が再会する場面に立ち会うこともあった。

 災害が起きるたび、そこに暮らす人々に思いをはせてきた。2016年の熊本地震や19年の台風19号では、似顔絵を描くイベントを県内で開き、収益を全額、義援金として被災地に送り届けた。大震災後に似顔絵を描いてもらったという人も訪れてくれた。「歩いてきた道は間違いではなかった」と感じた。

 本業の漫画では11年9月から、岩手を舞台にした「ずったり岩手」を出版社のサイトで400話以上連載し、自らの被災地との関わりも描いている。「ずったり」とは「ずっと」という意味だ。25歳で雑誌のオーディションで受賞し、漫画家デビューしてからの読者に感謝を込めて、この日は走った。

 「聖火リレーを見て、被災地のありのままの姿を見てほしい」。トーチをペンに握り替え、漫画に力を注ぐつもりだ。

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2130282 0 東京オリンピック2020速報 2021/06/17 09:48:00 2021/06/17 10:31:12 2021/06/17 10:31:12 笑顔で聖火ランナーを務めるそのだつくしさん(16日午前9時17分、岩手県雫石町で)=川口正峰撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210616-OYT8I50104-T.jpg?type=thumbnail
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