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東日本大震災で被災の旅館女将「支援に感謝の気持ち伝えたい」…聖火リレー駆ける

 
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 東京オリンピックの聖火リレーは17日、岩手県内2日目を迎え、岩泉町を出発した。陸前高田市までの沿岸8市町村を巡り、東日本大震災の被災者らが聖火に接した。被災地へ注目が集まる機会となり、多くの人が復興への思いを新たにしていた。最終日の18日は一関市から盛岡市へ聖火を運ぶ。

 東日本大震災で被災した釜石市の旅館「宝来館」 女将おかみ の岩崎昭子さん(64)はトーチを手に、大槌町を笑顔で駆けた。

観光案内でなじみの道、一歩ずつ踏みしめる

復興支援の感謝を込め、沿岸の道を走る岩崎さん(大槌町で)=川口正峰撮影
復興支援の感謝を込め、沿岸の道を走る岩崎さん(大槌町で)=川口正峰撮影

 一歩ずつ踏みしめた道は、観光案内で何度も訪れたなじみの道だ。釜石の復興を支援してくれた全国、海外の皆さんに感謝の気持ちを伝えたい――。そんな思いを胸に、聖火リレーに応募した。

 震災が起きたあの日、岩崎さんは海のそばの宝来館にいた。スタッフや近所の住民に、裏山へ避難するよう誘導している際に逃げ遅れ、津波にのまれた。しかし、流れてきた宝来館のバスにしがみつき、一命を取り留めた。

 宝来館は津波で2階まで浸水。いったんは職員を全員解雇せざるを得ない状況になり、苦難が重なったが、再建は諦めなかった。翌2012年に仮オープン。15年に改装が完了し、新しく生まれ変わった。

 復興へ歩む中で思い出深い出来事は、19年に釜石で試合が行われたラグビー・ワールドカップ(W杯)だ。多くの外国人が釜石を訪れ、街も宿もにぎわった。「あの時、スポーツで人が勇気づけられることを実感した」と振り返る。

 2戦が予定されていたが、台風19号の接近でカナダ―ナミビア戦はあえなく中止になった。しかし、スタジアムの外では、外国人客と市民が交流する姿があった。「言葉が通じずとも、スポーツで気持ちを通わせることができる」。そう感じた。

 コロナ禍が続くこの1年、人々の心の持ちようには、震災と共通点があると感じている。「大切な人のことを思うきっかけになったのではないか。震災の時も『あの人は大丈夫だろうか』『もし自分がそうなったら』と考えたはず」

 コロナに苦しむ人々を思うと、聖火リレーのにぎわいには複雑な心境だが、「知恵を出し合い、感染対策をして、大会を成功させられれば、オリンピックは人々の勇気に変わるはず」と前を向く。

「だけど僕らはくじけない」…ひょっこりひょうたん島の歌詞をリフレイン

 リレーを走る最中、大槌町にある蓬莱島がモデルとされる「ひょっこりひょうたん島」の歌詞が頭の中でリフレインしていたという。「歌詞の『苦しいこともあるだろさ 悲しいこともあるだろさ だけど僕らはくじけない』。これは自分たちの10年にも重なると思う。これからの10年をまた見てもらいたい」と力強く話した。

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2134605 0 東京オリンピック2020速報 2021/06/18 09:43:00 2021/06/18 11:00:02 2021/06/18 11:00:02 笑顔で聖火ランナーを務める岩崎昭子さん(17日午後4時10分、岩手県大槌町で)=川口正峰撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210618-OYT8I50000-T.jpg?type=thumbnail
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