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「水害の記憶風化させない」…19歳、聖火手に堤防走る

  
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 東京オリンピックの聖火リレーは茨城県内2日目の5日、古河市やつくば市など8市を巡り、県内での全日程を終了した。2日間で総勢178人のランナーがつないだ聖火は、埼玉県に引き継がれる。

 「水害の記憶を風化させたくない。助けてくれた全員に感謝を伝えたい」。広田真莉香さん(19)はその思いを聖火に託し、2015年9月の関東・東北豪雨で氾濫した鬼怒川の堤防上を走った。

 被災したのは中学2年の時。大雨の影響で学校は休校になり、祖母と妹の3人で自宅にいた。防災無線で堤防の決壊を知り、急いで衣服や食料などをまとめ、祖母の運転する車でつくば市の親戚の家に避難した。

堤防の上を笑顔で走る広田さん(常総市で)
堤防の上を笑顔で走る広田さん(常総市で)

 床下浸水した自宅は停電と断水が続き、避難生活は約1週間に及んだ。「いつ当たり前の生活に戻れるんだろう」。連日、住み慣れた街の被害が報道され、ヘリコプターで救出される人や流される家の映像を見るたびに胸が苦しくなった。

 忘れられないのが、床上浸水した中学校の復旧作業を手伝ってくれたボランティアだ。泥の独特な臭いが鼻をつく中、がれきを取り除き、水で洗う作業を黙々とこなしてくれた。その姿に心を打たれた。

 「自分も力になりたい」。高校1年の時、東日本大震災の被災地、宮城県で植栽ボランティアに参加した。

 地元を盛り上げようと、市内で開かれる祭りも企画・運営した。他の高校生とアイデアを出し合ったという。

 今は自宅から約1時間かけて千葉県内の大学に通い、看護を学んでいる。将来は看護師か保健師を目指している。新型コロナで医療従事者らが受けた差別も、我が事のように感じるようになった。「本当につらい思いをしているはず。走る姿で元気を与えたい」。1年の延期を経て、そんな思いも加わっていた。

 常総市は関東・東北豪雨で、総面積の約3分の1が浸水し、15人が死亡した。5日、聖火リレーが行われたのはかさ上げなどの復旧が終わった堤防の上。広田さんは「たくさんの方が声をかけてくれて楽しく笑顔で走りきることができた。本当にたくさんの力を借りて復興できたことを改めて感じた」と話した。

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2182401 0 東京オリンピック2020速報 2021/07/06 09:37:00 2021/07/06 09:37:00 笑顔で堤防の上を走る広田さん(7月5日午後0時1分、常総市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210705-OYT8I50106-T.jpg?type=thumbnail
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