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荒波を越えてたどりついた「ハネタク」のオリンピックロード

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 〈東京五輪・カヌー男子スラローム、カナディアンシングル決勝〉26日・スラロームセンター

 リオデジャネイロ五輪銅メダルの羽根田卓也(34)は10人中10位で、2大会連続のメダルは叶わなかった。

五輪への荒波を漕ぎ切った羽根田。2大会連続のメダル獲得はならなかった
五輪への荒波を漕ぎ切った羽根田。2大会連続のメダル獲得はならなかった

 「この大会に出られることを幸せに思い、全力でいい結果が残せればいい。100パーセントの力を出し切って、自分がどこまで登れるか」――。大会を目前にそう話した。東京五輪への道は、新型コロナウイルス下での試行錯誤の戦いでもあった。

 五輪の延期。そして活動自粛期間中に自身のSNSで発信した、ユニークな筋力トレーニングが話題となった。半袖、半ズボン姿のマッチョな「ハネタク」が大きなハンマーを地面に向かって何度も振り下ろす、レンガを詰めた樽をバーベル代わりに振る、自宅のユニットバスの湯船に水を張ってパドルで漕ぐ――。

 「ジムが使えなかったので、重さ20、30キロのプレート代わりに家にある物を使っただけで、やっている動き自体は同じ。ハンマーで地面をたたくトレーニングなどは、全身を使って上半身と下半身の連動性を意識していた。久々に激流でこいだ時に以前と感覚にズレがなく、やってきたことが見当違いじゃなかったと感じた」

 早く練習を再開できた欧州勢と自分の立場を比較すると、漕ぐことのできないジレンマはあったが、漕げない時間をいかに有効に使うか、そんなプラス思考ができた。

 けがの治療、筋肉トレーニングだけではなく、自分で茶器を買って茶をたてるなど、積極的に日本の文化に触れた。「今までも歴史小説を読んだり寺社を巡ったりはしてきたが、何かに取り組むことはなかった。例えば茶道は、心構えや生きる姿勢がすごく問いかけられる世界。特別な舞台で力を発揮するための精神力を養うには、他の分野に取り組むことで人間性が成長し、勝負強さに生きると考えた」

 自粛期間が明け、本格的な練習を再開したのが1年前の夏。日本初の人工コースである五輪会場のスラロームセンター(東京都江戸川区)での練習再開が許可され、日本選手は「地の利」を生かせるはずだった。ところが五輪直前になって新たな試練が訪れた。大会前の会場改修で、後半に急流が配置されるなど、コース設定が大きく変わったのだ。

 それでも最後まで全力を尽くした決勝を終えて「自分なりにこの日に懸けて人生を過ごしてきた。悔しいとか、うれしいとか、一つの感情ではなく、一生懸命やってきた自分の人生と挑戦が、今日で一区切りしていろいろな思いが混ざっている」と話した。

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2235938 0 東京オリンピック2020速報 2021/07/26 18:00:00 2021/07/26 18:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210725-OYT1I50126-T.jpg?type=thumbnail
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