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トップアスリートからタレントへ…日本フェンシング協会会長・武井壮、「百獣の王」への歩み

  
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 アテネで1896年に開催された近代オリンピックの第1回大会からずっと実施されている伝統の競技がフェンシングだ。国内を統括する日本フェンシング協会の新会長に今年6月に就任したのが、タレントで、陸上・十種競技の元日本王者の武井壮さん(48)。任期満了で退任した五輪銀メダリストの太田雄貴前会長(35)とは以前から交流があり、スポーツに詳しく、知名度のある武井さんが太田雄貴前会長に口説き落とされた形だ。

 スポーツマンだがフェンシング経験はない武井さん。国内競技団体トップへの就任にあたり、「私の発信力、スポーツをよりメジャーにするというビジョンを共有したい」と抱負を語った。

少年からアスリート、そしてタレントへ~武井さんの歩み


(2013年11月13日付夕刊掲載「Pop Style」より再構成)

武井壮さん
武井壮さん

 野球少年だった小学5年生の時、どうやったら全ての打席で本塁打を打てるのか、と悩んだ。目の前の水を飲もうと思ったら飲める。だが、スポーツでは思ったことをそのままできない。不思議だった。

 ある日、父親が撮影した自分の映像を見て驚いた。プロ野球の投手をまねて投げているのに全然似ていなかったのだ。で、気づいた。頭で考えていることができていないのだ、と。

 以来、いかに体を思ったように動かすか、がテーマになった。個別の技術より、頭でイメージする通りに動ける体が仕上がれば、どんなスポーツの能力も上がる。そんな独自の理論に行き着いた。

 中学で野球、高校でボクシングに取り組み、大学で短距離を始めた。「大学にいる間に日本一になりやすい」と思って100メートル走、走り幅跳び、砲丸投げなどを行う十種競技に転向。2年半の厳しいトレーニングを経て、1997年の日本陸上競技選手権で優勝した。

 この間、子どもの頃からノートにしたためた100以上の決めごとを厳しく守った。酒もたばこもコーヒーも不可。毎日6回以上全身で体温を測り、屋内外の気温と湿度、飲んだ水分の量や服の素材までチェックする。「まあいいや、が始まると、スポーツは際限なく弱くなる。決めたことを守っているだけです」

 だが全国優勝の翌日、人生をささげた結果への現実を突きつけられた。街を歩いても、誰も日本一の自分に気がつかないのだ。

インタビューに答える武井壮さん
インタビューに答える武井壮さん

 「スポーツの価値を勘違いしていた。成績や記録が良ければ、社会での価値が高まり、華やかな人生を送れる気がしたけど、そんなことは一切なかった」

 もやもやした思いを解消できたのは2003年、肉体を使ったショー「マッスルミュージカル」で芸能活動を始めた頃だ。知り合ったタレントらと食事をしていると、周りの人々がこちらに笑顔を向け、喜んでいる。「まるで魔法使い。スポーツでは、記録を作るより、何百万の人に見たいと思ってもらう方が価値が高いのでは」。

 あらゆる動物と戦うネタの誕生のきっかけは、大学卒業後、米国へのゴルフ留学にさかのぼる。ジョギング中に背丈より大きい野生のシカに遭遇。殺される恐怖に襲われ、逃げることも戦うこともできなかった。結局、助かったが、衝撃だった。

 「ゴルフや陸上を頑張っても、偶然、シカに会うだけで何もできなくて人生終わっちゃうのかな、と思って。まずいと思って、動物のことを調べ始めた」

 サイを倒すには、足の靱帯(じんたい)を石で破壊する。ライオンは、腕をかませて弱点である鼻を殴ればいい。ゾウは、大蛇は、シャチは……、あらゆる動物を倒す想定が7年間でまとまり、ネタにつながった。肉体を生かした芸風で人気となり、街を歩けば、自らも声をかけられる存在になった。

 身長1メートル75、体重69キロ。胸囲100センチという頑強な肉体を支える食。好きな食べ物は、ウナギ、ギョーザ、ベーコンだという。趣味が「成長」ということもあり、基本的に、カロリーの高さがポイントのようだ。嫌いな食べ物について、食べ「られ」ないものはないが、食べないものとしてキュウリやコンニャク。「カロリーが低いから食べる必要がないと思っています」。アスリートの食は、味よりも、意義付けにあるらしい。

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2231974 0 東京オリンピック2020速報 2021/07/25 09:00:00 2021/07/30 15:25:13 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210709-OYT1I50076-T.jpg?type=thumbnail
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