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ボクシングでメダル獲得の再現狙う男子ミドル級・森脇唯人「誰にも負けたくない」

  
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 東京オリンピックのボクシング男子ミドル級(69~75キロ)は7月26日、東京・両国国技館で初戦の開始ゴングが鳴る。ミドル級といえば、プロで世界チャンピオンとして君臨する村田諒太(帝拳ジム)が、アマチュア時代の2012年ロンドン五輪で金メダルに輝いた階級だ。「村田さんの活躍を同じ階級で継承し、周囲に希望を与えたい」。森脇唯人(24)(自衛隊)は、コロナ禍による1年延期を経てこぎ着けた地元開催の五輪で、日本勢のメダル獲得再現を狙う。(読売新聞オンライン・込山駿、敬称略)

トレーナーのミットに得意の鋭い左ジャブを打ち込む森脇唯人(2020年2月、都内で)
トレーナーのミットに得意の鋭い左ジャブを打ち込む森脇唯人(2020年2月、都内で)

伸びるジャブから倒しにいくのが身上

 1メートル88の長身から繰り出す左ジャブが、よく伸びる。このパンチでペースをつかみ、スピードを生かして倒しにいくボクシングが森脇の身上だ。

 日本のボクシング界は、プロアマともに軽量級の選手層が厚い。ミドル級は、この国にあって重量級の部類に入るうえ、世界的には激戦区で、メダル獲得など長らく夢物語と思われていた。そんな常識を覆す金メダルを村田が手にした9年前の夏、森脇はまだボクシングを始めたばかりの高校1年生だった。

 「それがどれほど難しいことなのか、当時は分かっていなかった。競技を続けて知識が増えていくうち、ミドル級で結果を出した村田さんのすごさを知った」。時が過ぎ、オリンピックに出る立場になった今、ミドル級で戦う厳しさとやりがいを実感している。

苦しんで手にした五輪出場権「もう誰にも負けたくない」

 小中学校時代は極真空手を習っていた。「当時から背が高かったので、普通に拳を突き出すと、どうしても相手の顔に当たって反則を取られてしまう」と不満を募らせ、ボクシングに転向したという。駿台学園高(東京)で、3年時の全国高校総体で3位に入って頭角を現し、法政大で競技を続けた。

腕立て伏せで汗を流す森脇
腕立て伏せで汗を流す森脇

 最初の転機は、大学2年で訪れた。世界大会の出場権を逃したうえに法大の2部リーグ降格を招く痛恨の黒星を喫し、「生まれて初めて、本当の悔しさを知った」。その日から、練習内容や反省点などを毎日ノートにつけている。負けん気と向上心の結晶は、今ではもう30冊以上になった。

 全日本選手権は大学3年時の2017年度に初優勝し、自衛隊体育学校入りした19年度にかけて3連覇した。19年度の選手権では、プロで世界タイトルマッチも経験してアマに戻ったベテラン・佐藤幸治を準々決勝で鮮やかに倒すなど快調に白星を重ね、日本代表として東京五輪のアジア・オセアニア予選に駒を進めた。

 五輪予選は新型コロナウイルスの影響で、20年2月の中国・武漢から3月のヨルダン・アンマンへ、時期と開催地を変えて実施された。2戦目で敗退し、予選では出場権に手が届かなかったが、帰国後間もなく開かれた日本代表選考会議で初戦の勝利と試合内容を評価され、本大会への切符を手にした。代表メンバー選出当時、こう話した。

 「厳しい環境の予選で、満足な動きができなかった。対応力のなさが敗因。悔しさは残っているけど、代表に選ばれたことにはホッとした。自分らしいボクシングを鍛えて、本大会の結果で恩返ししたい」

 それから間もなく、本大会は延期が決まり、練習も実戦も思うに任せない1年間を過ごしてきた。ほかの日本代表ボクサーたちが好結果を出した21年5月のロシアでの国際大会にも、故障のため出場できなかった。それでも、国内での試合で判定勝ちしてリングに復帰し、本大会へ最後の調整を進めてきた。

 コロナ禍の2020年、日本ボクシング連盟が開いたオンライン講座で、村田とリモートで対話する機会があった。「君、うまいし、強いよ」。あこがれの人から、そんな言葉で励まされ、笑顔をみせた。「まだスパーリングをさせていただいたことがない。現役のうちにどこかで一度、勉強させてもらいたい」とも願っている。

 8月7日に予定される東京五輪の決勝まで、勝ち進めるか。「もう誰にも負けたくない。だから目標は変えない。金メダルを目指す」という気持ちの強さが、オリンピックでは試される。

村田諒太の森脇評(2020年1月)

 僕が今、森脇くんとアマチュアのルールで対戦したら、正直言って勝つのは難しい。1試合12ラウンドあるプロの世界戦が「マラソン」だとしたら、3ラウンドのアマは「3000メートル走」くらいで、試合のテンポが全く違う。僕が3回までに適応してつかまえる自信を持てないくらい、彼のスピードは素晴らしい。アップテンポの素早い攻防を見られるのは、アマの試合ならではの楽しみでもある。

 彼は僕より6センチも背が高くて、運動神経の良さも感じる。あのタフな佐藤さんを破った左のカウンターを見ると、一発の破壊力も備えている。

 ロンドン五輪当時の僕なら勝ちますよ。金メダリストの意地があるので、そこは言っておかないといけない。とはいえ、彼の恵まれた体格とボクシングスタイルは非常に魅力的だ。同じミドル級の選手の活躍を東京オリンピックで期待したい。

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2233162 0 東京オリンピック2020速報 2021/07/26 09:00:00 2021/07/25 16:11:33 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210716-OYT1I50145-T.jpg?type=thumbnail
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