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三浦龍司が日本新で決勝へ…走って跳んで、また跳んで「サンショー」の魅力に迫る

   
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 東京五輪は30日から陸上競技が始まった。その陸上で「サンショー」と呼ばれる種目は何? と聞かれてすぐに答えられる人は、かなりのツウだろう。400メートルトラックを7周しながら、ハードルのような障害を28回、 水濠(すいごう) を7回も跳び越える「3000メートル障害」は、トラックで行なわれるクロスカントリーと思えば分かりやすいかもしれない。マラソンや100メートルなど華やかなレースの陰で、陸上の世界ではどちらかといえば目立たなかった種目だが、今年は約18年ぶりに日本記録が塗り替えられるなど、注目度が上がっている。前日本記録保持者の岩水嘉孝さん(資生堂ランニングクラブ監督)に「サンショー」の魅力や観戦ポイントなどを聞いた。(編集委員 千葉直樹)

「サンショー」は走力、跳躍力、体幹、様々な資質が求められる「障害物競争」だ
「サンショー」は走力、跳躍力、体幹、様々な資質が求められる「障害物競争」だ

 ――この種目は3000メートルSCと表記されますが、「SC」とは何ですか。

 「Steeple(教会などの尖塔)chase(追いかける)の略です。その昔、外国で教会から隣町の教会まで人や馬が競争をする時に途中の柵など障害物を跳び越えていったことが始まりと言われています。海外では「3000メートル」を省いて「SC」だけで通じます」

 ――選手にはどんな資質が求められますか。

 「走力だけではなく、障害を越える跳躍力や、強い衝撃の着地に耐える力、空中で姿勢がぶれないように体幹も鍛えておかなければいけません」

 ――障害の高さはどのくらいありますか。

 「男子は91・4センチで女子が76・2センチ。400メートルハードルと同じ高さですが、幅が広くて倒れないという点で異なります。最初は楽に跳べても、後半はだんだんきつくなります」

 ――うまく障害を越えるコツは。

 「短距離種目のハードルと違って倒れないので怖さを感じますが、その恐怖心をなくすこと。(障害の)直前で失速すると踏み切り位置がハードルに近くなって越す時の重心が上方にはね上がり、タイムロスにつながります。速度を落とさずに遠目から踏み切って越えていくことが大事です。ハードリング技術の高い海外の選手は足をかけずに跳び越えていきます」

 ――激しく水しぶきが上がる水濠通過は見ていて面白いです。どんなテクニックが必要ですか。

 「水深はハードル脇の一番深いところで70センチ。傾斜になっていて水がなくなる場所まで3メートル60くらいあります。一気に跳ぶこともできますが、7回も越えるので体力を消耗します。私の経験では、脚などへの負担を緩和するために水の部分に着地して次の一歩で出るぐらいがベストです」

 ――観戦のポイントは。 

 「このレースはなるべく前の方で走る方が楽です。集団の中だと前の選手の転倒に巻き込まれることもあるし、隠れて見えなかったハードルが急に視界に現れるのも怖いです。日本のトップ選手はコロナ禍の影響もあって海外でレースができず、集団でのそうした経験が不足しているかもしれません」

水しぶきが上がる水濠を越えて走る、日本記録保持者の三浦龍司(中央)
水しぶきが上がる水濠を越えて走る、日本記録保持者の三浦龍司(中央)

 ――東京オリンピックには男女4選手が出場します。

 「三浦龍司選手を筆頭に、5000メートルなど長距離を走らせても走力が高く、世界的な基準で見て能力の高い選手がそろいました。五輪では決勝進出、そして入賞を期待しています」

 ――その三浦選手は今年5月に、岩水さんの持っていた日本記録をおよそ18年ぶりにやぶりました。6月には再び記録を更新(8分15秒99)しています。

 「三浦選手はハードリング技術が高く、水濠を越えるのもうまい。五輪でも主導権を握るレース展開になれば、8分10秒を切って、8~9秒はいけると思います」

 岩水さんの期待通り、三浦龍司選手は30日の予選で、自身の記録を6秒以上更新する8分09秒92の走りで8月2日の決勝進出を決めた。この種目で日本選手が決勝に進出するのは49年ぶりだ。

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2233103 0 東京オリンピック2020速報 2021/07/30 06:00:00 2021/07/30 11:25:52 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210717-OYT1I50067-T.jpg?type=thumbnail
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