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挑戦する選手の姿が心揺さぶる、52歳でパラ初出場した佐久間さんが聖火に込めたエール

  
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 東京オリンピックの聖火リレーは19日、都内で11日目を迎え、荒川区の南千住野球場で、「トーチキス」が行われた。葛飾、江戸川、墨田、荒川の4区で公道を走行する予定だった人たちが参加。真夏の太陽が照りつける中、会場は笑顔と熱気に包まれた。20日は中央区の区立浜町公園でセレモニーが開催される。

 トーチに火がともった瞬間、佐久間明夫さん(69)は胸が熱くなった。「この炎はきっと選手の背中を押してくれるはず」。聖火を高々と掲げると、2004年、52歳で初出場したパラリンピックアテネ大会で見た聖火台の炎が重なって感じられた。

トーチを掲げながら「頑張って国民に感動を与えてほしい」と選手にエールを送る佐久間さん(19日、荒川区で)=高橋美帆撮影
トーチを掲げながら「頑張って国民に感動を与えてほしい」と選手にエールを送る佐久間さん(19日、荒川区で)=高橋美帆撮影

 福島県矢吹町出身。中学1年の時に左手切断の大けがを負った。卒業後、集団就職で上京。都内のガラス瓶製造会社で「誰にも負けまい」と、健常者より重い荷物を運び、より早く機械操作を覚えた。45歳で自転車競技を始めると、 肋骨ろっこつ を折っても競技に出場し、練習では酸欠を起こしたり血尿が出たりすることも度々あった。

 アテネでは、手首をハンドルに固定する自身特製の器具を装着し、ロードレース決勝の舞台に立った。前半から攻めの気持ちが勝って隣と接触し、落車。食い下がるも、結果は13位だった。計4種目に出たが、順位は振るわず「こんな成績では日本に帰れない」と落ち込んだ。

 その夜、1人の外国人選手が部屋を訪ねてきた。「50歳を超えてあなたのような活躍は、私たちには到底できない。あなたこそチャンピオン。感動をありがとう」とジャージーをプレゼントされた。

 閉会式では、観客から大きな拍手と歓声が送られた。メダルの有無にかかわらず「感動をありがとう」と言っているように感じた。聖火台では炎が揺れていた。ふいに、頑張ってきた日々の思いがこみ上げ、涙があふれた。「苦しみ、もがいた日々は間違いじゃなかったんだ」。救われた気がした。

 あれから17年。今も競技用自転車でコースを走り続けている。結果や成績ではなく、挑戦し続ける選手の姿が、多くの人の心を揺さぶると感じている。聖火に選手へのエールと自身の思いを込めて次へとつないだ。

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2220138 0 東京オリンピック2020速報 2021/07/20 09:37:00 2021/07/20 10:29:32 記念撮影にポーズで応じる佐久間明夫さん(19日午後2時47分、東京都荒川区で)=高橋美帆撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210719-OYT8I50087-T.jpg?type=thumbnail
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