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「厚底」全盛でも、代表で唯一「薄底」にこだわる前田穂南…源流は64年東京五輪モデル

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東京五輪当時に履いていたモデルのシューズを手に、前田に期待を寄せる寺沢さん
東京五輪当時に履いていたモデルのシューズを手に、前田に期待を寄せる寺沢さん
前田が現在履くタイプのシューズ
前田が現在履くタイプのシューズ

 マラソンで反発力に優れた厚底シューズが全盛を迎える中、東京五輪日本代表の男女6人で唯一、薄底タイプにこだわるのが前田穂南(天満屋)だ。日本勢4大会ぶりの金メダルを狙う前田を支えるそのシューズの源流をたどると、1964年東京五輪に行き着く。

 前田が一貫して履くのは、アシックス社が手がける「ソーティシリーズ」の7年前に出たモデル。靴底は25ミリ以下と薄く作られ、40ミリ近い厚底とは一線を画す。つま先が曲がりやすく、「(靴が)体の一部になる感覚」を求めたという。

 同社では、最新モデルや厚底タイプも試し履きしてもらったが、前田は首を縦に振らなかったという。担当者は「上下動がなく、滑るような走り。反発性の強い靴は上下に跳ぶので、合わないのでは」とみる。

 ソーティは「出撃」を意味し、81年に最初のモデルが登場。64年東京五輪3位の円谷幸吉さん、15位の寺沢徹さん(86)が履いた「マラップ」の後継モデルとされる。マラップは発泡した2種類のゴムを重ね合わせて軽さと反発力を実現。日本人に人気だったマラソンの専用シューズとして、世界に先駆けて開発された。

 寺沢さんは63年、大分の大会で、当時の世界最高記録をマラップで樹立。その際、両足に大きなマメができた。すると、大阪へ帰る途中、同社創業者の鬼塚喜八郎氏が特急電車に自ら乗り込んできて、足や靴をチェックした。「驚いたが、おかげで東京五輪ではマメができなかった」と感謝する。

 最高のレース用シューズを作るという理念はソーティに引き継がれ、合成樹脂を靴底に用いるなど、最先端の技術を投入。以降、歴代の五輪選手が愛用し、共に金メダルに輝いた2000年シドニー五輪の高橋尚子さん、04年アテネ五輪の野口みずきさんも、このタイプを履いた。

 自身初の五輪へ向け、前田は「スピードを強化し、金メダルを目指したい」と意気込む。寺沢さんは「世界で戦うという鬼塚さんの情熱があり、選手もマラソンであれば勝負できると信じた。その思いは前田さんにも受け継がれていると思う。自分の走りをすれば、結果はついてくる」とエールを送った。(平野和彦)

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2224276 0 東京オリンピック2020速報 2021/07/21 13:49:00 2021/07/21 13:49:00 東京五輪当時に履いていたモデルのシューズを手に、前田に期待を寄せる寺沢さん https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210721-OYT1I50079-T.jpg?type=thumbnail
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