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上野由岐子 マウンドで表現した13年分の変化

 
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力投する先発の上野由岐子=吉野拓也撮影
力投する先発の上野由岐子=吉野拓也撮影

 東京五輪は21日、開会式に先立って競技が始まり、ソフトボールの1次リーグで日本は3大会連続で豪州と初戦で対戦し、8―1で五回コールド勝ちした。

剛腕 技術も絶品

▽1次リーグ
豪州(1敗) 100 00 ―1
日本(1勝) 102 32X ―8
(五回規定によりコールドゲーム)

 試合前、普段の試合なら周囲の選手に積極的に声を掛ける上野が、自分の世界に入り込んでいた。「わくわく感しかなかった。興奮を抑えて、抑えてと意識していた」。そうしていないと平常心を保てないほど待ちに待った舞台。北京五輪から13年分の変化を、マウンドで表現した。

 一回、「丁寧に行きすぎた」と3四死球を与えて先制されたが、「データだけにとらわれず、もっと大胆に感じるままに勝負した」とギアを入れ替えた。なおも一死満塁のピンチを三振と投ゴロで切り抜けると、二回は三者凡退。三回は多彩な変化球をコースぎりぎりに決めて3三振を奪った。五回途中に20歳の後藤にバトンタッチし、翌日以降の試合に備えた。

 上野と言えば、「世界最速」と騒がれた2008年北京五輪当時のイメージが強いが、今は多彩な変化球を自在に操る技巧派の一面も色濃い。北京後、「勝ち負けより、駆け引きや技術に興味を持つようになった」と、曲がり方や曲がるタイミング、スピードや使う状況などあらゆることを試し、取り入れていった。「13年間ずっとスタイルを変えてきた。昔のピッチングはほぼ覚えていない」。北京で金メダルを獲得した「上野の413球」も、自身にとっては忘れられた「昔」の出来事だ。

 現在も日本人最速の110キロ台後半の剛速球を投げ、本格派の投球もできるが、「あの時(北京)の自分はもういない」と言い切る。過去を求めず、常にその時の最高であろうとする姿勢が、22日に39歳を迎える右腕を作り上げている。

 「わくわくしていた」というのは、投球に自信がある何よりの証拠だろう。「感傷はなかった」という13年ぶりの五輪。見ている側をもわくわくさせる五輪が始まった。(星聡)

  日本・宇津木監督 「経験が一番あり、上野から(五輪を)スタートして優勝するという夢があるので、先発は上野しかないと思った。18歳からここまでずっとそばで見ているから、(五輪のマウンドに立った姿を見て)感無量」

  豪州・ハロー監督 「守備の能力が足りなかった。一回にもう少し加点できればプレッシャーをかけられたと思う。がっかりする敗戦だが、準備して明日の試合に臨みたい」

山本3打点 大勝呼ぶ

5回無死1塁、山本優が2ランを放つ
5回無死1塁、山本優が2ランを放つ

 「日本の4番」の面目躍如だ。山本が2安打で3打点を稼ぎ出し、大勝発進の立役者となった。

 まずは先制された直後の一回二死二塁で迎えた五輪初打席。「大きいのは狙わず、コンパクトに振っていこう」と冷静に外角球を右前へ運ぶ同点打で、試合の流れを引き戻した。

 5点リードの五回は低めの球をすくい上げて中越えに運び、コールド勝ちを決める2ラン。最高の結果にも、「ホームランを打ちたい場面ではなかったので、いい打撃とは言えないかな」と不満げな姿に、打撃職人のプライドがにじみ出た。

 実業団5年目の2011年、右肩の故障で一度は引退。手術を経て13年に復帰すると、勝負強くパワフルな打撃で日本代表の主軸に定着した。「ホームランは反省が残らないから、あまり好きじゃない。凡打が一番成長できる時だと思う」という向上心で、不動の4番の座を築き上げた。

 札幌市出身の32歳。30度を超す炎天下での初戦後、「今日は朝からの試合で大丈夫だったけど、明日は昼の試合なので心配」と苦笑しつつ、「とにかく一戦一戦、集中してやるだけ」。快晴の空のごとく、主砲のバットには一点の曇りもない。(西口大地)

  コールドゲーム  今大会のソフトボールは三回で15点以上、四回で10点以上、五、六回で7点以上の差がついた場合、コールドゲームで試合終了となる。

米快勝発進 米国2―0イタリア

 米国の先発オスターマンが快投。球威、制球とも抜群で、六回まで1安打、9奪三振、無四球で無失点に抑え、七回を3者三振で締めたアボットと2人で零封リレーを完成させた。アテネ、北京両五輪で日本と熱戦を演じ、かつて日本リーグでプレーした名投手も38歳。今大会を最後に引退すると表明しており、「金メダルを期待されるが、目の前の一戦に集中する」と誓った。

[宇津木妙子の目]好スタート 安心した

 アテネ五輪の初戦で敗れ、北京でも初戦で苦戦した豪州には悪いイメージがあった。前夜は心配でなかなか眠れなかったが、いいスタートが切れて安心した。誰か1人がヒーローなのではなく、みんなで勝ち取った1勝だ。

 打線がこんなに打つとは思わなかった。特に3~5番がうまく回った。直前の高崎合宿はみんな下を向いていたから、どうかと思っていたが、最後にうまく調整できたのだと思う。2番の川畑は若く、多少緊張しているようだったが、パワーがある選手で、いずれやってくれるだろう。上野は立ち上がりは神経質になりすぎていたが、試合中にうまく調節した。

 各国の初戦を見たが、どのチームの投手もきちんとコーナーに投げ分けられている。(米国の)オスターマンは球の質がすごくいい。初速と終速があまり変わらず、ドロップなどの変化球もきれいに回転している。やはり打ちづらいと思う。

 22日のメキシコ戦に勝てば、だいぶ優位に立てる。高崎での練習試合では負けたこともあったが、普通にやれば勝てる相手。選手たちは五輪をやれることに感謝しながら、戦っていってほしい。(シドニー、アテネ両五輪日本代表監督)

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2226087 1 東京オリンピック2020速報 2021/07/22 05:00:00 2021/07/22 08:52:05 力投する先発の上野由岐子(21日午前9時9分、福島市の県営あずま球場で)=吉野拓也撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210721-OYT1I50172-T.jpg?type=thumbnail
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