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「金」高藤に裏方の功労者「直寿が強くなるなら、嫌われてもいい」…減量にも付き合う

  
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 東京五輪の柔道男子60キロ級で優勝した 高藤たかとう 直寿選手(28)(パーク24)。その傍らにはこの10年、1学年上の付き人、伊丹直喜さん(28)がいた。ともにトレーニングをし、減量にまで付き合ってくれる先輩に支えられ、金メダルに輝いた。(石坂麻子)

金メダルを獲得し笑顔の高藤選手(24日、日本武道館で)=竹田津敦史撮影
金メダルを獲得し笑顔の高藤選手(24日、日本武道館で)=竹田津敦史撮影
優勝した高藤選手(左)と抱き合って喜ぶ伊丹さん(24日、日本武道館で)=飯島啓太撮影
優勝した高藤選手(左)と抱き合って喜ぶ伊丹さん(24日、日本武道館で)=飯島啓太撮影

 5年前とは違う、うれし涙が頬をつたった。相手の反則で決勝戦に勝った直後、観客席から下りてきた伊丹さんと顔をくしゃくしゃにして、抱き合った。

 2016年のリオデジャネイロ五輪。準々決勝で一本負けし、3位決定戦で銅メダルを決めた直後、トイレに入った高藤選手が突然、四つんばいになって泣き崩れた。「すみませんでした」

 伊丹さんはかける言葉が見つからず、背中をさすった。人前ではおどけることが多いが、金メダルを目指し、誰より努力してきたことを知っていた。

 翌朝、高藤選手からLINEのメッセージが届いた。「東京まで一緒にやってください」。リオで一区切りと思っていた伊丹さんだったが、「自分もすごく悔しかった。もう一度チャンスをもらえた」と考え、付き人を続けることを決めた。

 2人は神奈川県の東海大相模中から東海大学まで先輩、後輩として過ごした。ともに軽量級で中学時代に2度戦い、いずれも高藤選手が勝った。伊丹さんは「仲は良かったが、ライバルなので、いつも『負けろ』と思っていた」と語る。

 高藤選手は高校3年の時、トップ選手が競う講道館杯で2位になった。観客席で見ていた伊丹さんの気持ちが揺さぶられた。「初めてうれしいと感じ、心の底から応援したいと思った」

 自ら「裏方気質」という性格。付き人として、世界のトップを目指す後輩を支えていくことを決め、練習相手を務めた。

 2年前には高藤選手の所属先に入社し、プロの付き人になった。トレーニングだけでなく、減量にも一緒に取り組む。ライバルはもちろん、審判の特徴まで映像で分析している。

 「直寿が強くなるなら嫌われてもいい。先輩だから言えることもある」。練習への取り組み方や礼儀におかしいところがあれば、容赦なく指摘する。

 高藤選手は東京五輪の代表に内定した時、真っ先に伊丹さんに報告した。記者会見では「これからもたくさん怒ってもらって強くなっていきます」と笑った。

 リオで苦杯を喫し、2人が突き詰めてきたのは安定感。無理に攻めず、勝つための柔道に徹してきた。この日も我慢強く戦い、優勝を決めた。

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2232189 0 東京オリンピック2020速報 2021/07/25 05:00:00 2021/07/25 09:10:53 柔道男子60キロ級で金メダルを獲得した高藤直寿(24日午後8時45分、日本武道館で)=竹田津敦史撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210725-OYT1I50017-T.jpg?type=thumbnail
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