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「やばい」右膝が大きく曲がり、耳にしたことのない音…大けがから復活の柔道・永瀬が「金」

  
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 柔道男子81キロ級の永瀬貴規選手(27)(旭化成)が、大けがからの復活を果たし、2度目の大舞台で頂点に立った。銅メダルだった前回の表彰台では硬い表情だったが、この日は真ん中に立って金メダルを見つめ、ほほえんだ。

柔道男子81キロ級決勝、モンゴルのサエイド・モレイ(下)を破り金メダルを獲得した永瀬貴規(27日、日本武道館で)=関口寛人撮影
柔道男子81キロ級決勝、モンゴルのサエイド・モレイ(下)を破り金メダルを獲得した永瀬貴規(27日、日本武道館で)=関口寛人撮影

 「やばい」。大内刈りを相手に防がれた瞬間、右膝が思わぬ方向に曲がり、耳にしたことのない音が聞こえた。2017年8月の世界選手権。前十字 靱帯じんたい などを損傷する大けがだった。

 リハビリは患部に超音波をあてる治療から始まり、1日2、3時間、電子音が響く部屋で過ごした。その後もチューブを使ったり、スクワットをしたり、単調なトレーニングを4、5時間する日が続いた。

 同じけがの経験がある所属先の吉田優也監督(32)は言う。「同じことの繰り返しで頭がおかしくなりそうになる。でも、永瀬は弱音を吐かずに続けていた」

 1年後に畳に戻ってからも試練は続いた。18年11月の講道館杯の初戦で敗れ、五輪代表レースから後退した。日頃は気持ちを内に秘めることの多い男が、長崎日大高(長崎県諫早市)の恩師に電話で「もうやめたいです」と漏らした。

 相手に投げられない「受け」の強さが持ち味だったが、復帰直後は相手の攻撃への反応が遅れ、防いだと思った技にかかってしまう。

表彰式で金メダルを手にする永瀬貴規選手(27日、日本武道館で)=関口寛人撮影
表彰式で金メダルを手にする永瀬貴規選手(27日、日本武道館で)=関口寛人撮影

 何度も折れそうな心を奮い立たせたのは、リオデジャネイロ五輪での悔しい記憶。表彰台の隣で、金メダルを首にかけるロシア選手の姿だった。

 「けがや勝てない時期を経験し、どん底からはい上がった。気持ちを前面に出し、泥臭く勝ちに行く」。そう誓って本番を迎えた。

 5試合のうち4試合が延長戦。苦しい展開をしのぎ、決勝では技ありを奪って優勝を決めた。畳を下りると、目に浮かんだ涙と大粒の汗を柔道着でぬぐった。

 「5年間に色々な挫折を経験し、成長できたので金メダルを取れたと思う」。かみしめるように言った。(石坂麻子)

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2239711 0 東京オリンピック2020速報 2021/07/27 22:21:00 2021/07/27 22:21:00 柔道男子81キロ級決勝、モンゴルのサエイド・モレイ(下)を破り金メダルを獲得した永瀬貴規(27日、日本武道館で)=関口寛人撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210727-OYT1I50223-T.jpg?type=thumbnail
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