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初の全国切符は大震災で中止、「好きな柔道やれるのはぜいたく」…母の言葉が生んだ新井の「くじけない心」

  
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 くじけない心を育んだのは、東日本大震災と母の言葉がきっかけだった。柔道女子70キロ級で金メダルの新井千鶴選手(27)(三井住友海上)。前回五輪で代表落ちした悔しさをバネに、最高の笑顔をつかんだ。

 「とにかく真面目で努力家。練習をやり過ぎるので、止めていた」。埼玉県立児玉高の恩師、柏又洋邦さん(54)が振り返る。勉強も手を抜かず、成績は「オール5」。夢は日の丸をつけて五輪で戦うことだった。

柔道女子70キロ級を制し、金メダルを手に笑顔の新井千鶴(28日、日本武道館で)=里見研撮影
柔道女子70キロ級を制し、金メダルを手に笑顔の新井千鶴(28日、日本武道館で)=里見研撮影

 初めて全国大会の切符を手にしたのは、高校2年だった2011年3月の全国高校選手権。だが、直前に東日本大震災が発生し、中止となった。けがをしても練習を休んだことがなかったのに、自宅に数日間引きこもり、泣きはらした。

 テレビでは、津波が家々をのみ込む映像が繰り返し流れていた。母の昌代さん(54)はこう伝えた。「亡くなった人や苦しんでいる人がたくさんいる。普通に生活ができて、好きな柔道をやれることは、ぜいたくなことなんだよ」

 ストンと胸に落ち、畳に戻った。柔道ができる幸せをかみしめ、5か月後の高校総体で優勝した。

 16年リオデジャネイロ五輪は代表入りを逃し、その後も不振で勝てない時期があった。何度もくじけそうになったが、「千鶴は強い」という家族の言葉も支えに前を向いた。20年2月の国際大会で優勝し、五輪への切符をもぎ取った。

 コロナ禍で1年延期となったが、震災時の母の言葉を思い出し、心は切らさなかった。「苦しんでいる人がいる中、柔道ができ、目標がある生活を当たり前と思ってはいけない」

 28日の決勝では先に技ありを取ったが、「絶対に悔いは残さない」と攻め続けた。試合後、カメラを前に大きな声で家族に報告した。「(金メダルを)取りました!」(石坂麻子)

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2243198 0 東京オリンピック2020速報 2021/07/29 05:00:00 2021/07/29 07:02:43 柔道女子70キロ級で金メダルを獲得した新井千鶴(28日、日本武道館で)=里見研撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210728-OYT1I50204-T.jpg?type=thumbnail
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