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「自分を信用できない…楽しくない」女子体操界スター・バイルス、重圧で棄権

  
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 女子体操界の第一人者で、2016年リオデジャネイロ五輪4冠のシモーン・バイルス(24)(米)が、東京五輪で2連覇がかかった29日の個人総合決勝を棄権した。米国体操協会は「心の健康の問題に重点的に取り組むため」と説明しており、米国ではスター選手の決断に関する報道が相次いでいる。

体操女子予選で跳馬の着地を決めた米国のシモーン・バイルス(25日、有明体操競技場で)=三浦邦彦撮影
体操女子予選で跳馬の着地を決めた米国のシモーン・バイルス(25日、有明体操競技場で)=三浦邦彦撮影

 東京五輪でバイルスは1位で予選を通過した個人総合を含め、複数種目での2連覇が有力視されていたが、27日の団体総合決勝で、最初の跳馬を演技した後、2種目目以降は出場しなかった。エースを欠いた米国は3連覇を逃し、銀メダルに終わった。バイルスは取材に対し、「以前ほど自分を信用できない。緊張するし、楽しくも感じなくなった」などと語っていた。

 米CNNは、バイルスが体操界では世界中から期待と注目を集めていた存在である一方、うつに苦しんでいた過去に触れ、「バイルスも一人の人間。ヒーローも心のケアを必要とする」と指摘した。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は本人の発言を引用して「米国選手団で、最大のスター選手である彼女への重圧は耐えられないほど重すぎた」と伝え、「大会数日前から、技術的な悩みを抱えていた」などと報じた。

 バイルスは13年の世界デビュー以来、圧倒的な戦績を残してきた。世界選手権では、13~19年の出場5大会で男女を通じて歴代最多の金メダル19個を獲得。リオ五輪後は休養に入り、2年間は競技会からも遠ざかったが、今年4月に東京五輪への意欲を示していた。

 ロイター通信などは、コロナ下で開催されている大会により家族や友人たちと離れて競技に臨まなければならない選手がストレスを受けている実情を紹介。メンタルヘルス(心の健康)の問題を訴えた休養から復帰し、テニス女子シングルスに出場した大坂なおみ(日清食品)が3回戦で敗れたことに触れ、選手の精神面について問題提起している。

 国際オリンピック委員会(IOC)のマーク・アダムス広報担当は28日の記者会見で、「私たち全員がバイルスに大きな敬意を抱いており、支持している」と述べ、メンタルヘルスについて「ここ数年、重要な課題になっており、IOCとしても取り組んできた。しっかりとやってきたと思いたいが、もっと取り組みを強化できるとも思っている」と語った。

(ニューヨーク 平山一有)

       ◇

 日本医科大特任教授で心療内科医の海原純子さんは「五輪に向けて頑張ってきた選手が、試合途中に棄権するのはよほどのことだ。精神的な負担が体調面にも影響したということだろう。新型コロナウイルスへの感染対策にも気を配らなければならず、特に海外から参加する選手にストレスが過大にかかっている可能性がある」と指摘している。

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2244632 0 東京オリンピック2020速報 2021/07/29 14:52:00 2021/07/29 14:52:00 体操女子予選 跳馬の着地を決めた米国のシモーン・バイルス(25日午後3時49分、有明体操競技場で)=三浦邦彦撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210729-OYT1I50094-T.jpg?type=thumbnail
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