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「名前はウルフか…でも、あんまり強くないな」恩師の第一印象

 
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 東京五輪は29日、柔道男子100キロ級で、東海大浦安高校出身で、了徳寺大(千葉県浦安市)職員のウルフ・アロン選手(25)が金メダルを獲得した。決勝では、延長にもつれこんだ末に一本勝ち。千葉県ゆかりの選手が金メダルに輝くのは、体操男子個人総合の橋本大輝選手(19)に続き、2日連続。

柔道男子100キロ級決勝で、韓国の趙グハム(右)と対戦するウルフ・アロン選手(29日、日本武道館で)=里見研撮影
柔道男子100キロ級決勝で、韓国の趙グハム(右)と対戦するウルフ・アロン選手(29日、日本武道館で)=里見研撮影

 9分を超える死闘に決着をつけたのは、ウルフ選手が恩師と繰り返し磨いてきた大内刈りだった。延長にもつれこんだ決勝で技をかけ続け、豪快な一本勝ち。両手を突き上げると、熱いものがこみ上げた。

 この日、出場した4試合のうち、大内刈りを決めたのは3試合。7月に入ってから、東海大浦安高校時代の恩師、竹内徹さん(61)の指導を仰ぎ、精度を上げてきた技だ。

世界選手権での優勝を竹内さん(右)に報告したウルフ・アロン選手(2017年10月、竹内さん提供)
世界選手権での優勝を竹内さん(右)に報告したウルフ・アロン選手(2017年10月、竹内さん提供)

 「名前はウルフか……でも、あんまり強くないな」。竹内さんは、中学に入って間もない頃に出会った第一印象を思い出す。米国出身の父を持つウルフ選手は、名前に似つかわしくない、背の小ささだった。

 高校に入学する頃には、たくましい体つきになり、高校1年では部内で指折りの強さとなった。「力強くて技の威力もすごい。スタミナもある」。竹内さんは成長ぶりに驚いた。

 1学年上には、ベイカー 茉秋ましゅう 選手がいて、互いを高め合った。2人の活躍で、同校は高校3冠を達成。竹内さんの40年ほどの指導歴でも「最強のチーム」だった。

 東海大に進んだウルフ選手は、17年に世界選手権で優勝し、19年には全日本選手権を制した。それでも、ウルフ選手は満足していなかった。「まだ五輪で優勝していない。ベイカー先輩に追いついてないんです」。竹内さんにそうこぼした。ベイカー選手は一足先にリオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得していた。

 五輪代表に内定すると、東海大柔道部師範を務める竹内さんを頼り、五輪直前になっても繰り返し道場に姿を見せた。「強気で妥協せず平常心で戦いなさい。舞台が大きくなればなるほど強いのがウルフだから」。大舞台を翌日に控えた28日、竹内さんがメッセージを送ると、「先生の指導を思い出しながら頑張ります」と返ってきた。

 この日、試合を自宅で観戦した竹内さんは、「試合が長くなれば強くなる子。(延長になった決勝も)いけると思った。おめでとう」と祝福した。

 ウルフ選手は、試合後のインタビューで、「泥臭い柔道を貫いて勝ててよかった。応援してくれたすべての人に感謝を伝えたい」と謝意を示した。恩師との絆で栄冠をつかみ取り、世界に強さを示した。(貝塚麟太郎)

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2246613 0 東京オリンピック2020速報 2021/07/30 07:22:00 2021/07/30 07:22:00 柔道男子100キロ級決勝 韓国の趙グハム(右)と対戦するウルフ・アロン選手(29日、日本武道館で)=里見研撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210729-OYT1I50214-T.jpg?type=thumbnail
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