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孤独に耐え異色の道歩んだ大迫、6位で最後の意地示す…武井隆次の男子マラソン解説

  
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 8日に札幌市内で行われた東京五輪の男子マラソンで、大迫傑(ナイキ)の「集大成」に胸を打たれた。2時間10分41秒は、立派な記録だ。この暑さの中だから、私は優勝タイムが10分台になると思っていた。30キロまで先頭集団で粘った。振り落とされて8位に落ちてもあきらめず、35キロ過ぎに2人を抜いた。2位集団の4人をつかまえるには、ちょっと距離が足りなかったけれども、6位入賞で意地を示した。

集大成と位置付けた現役最後のマラソンを走りぬいた大迫
集大成と位置付けた現役最後のマラソンを走りぬいた大迫

 30歳は、普通に考えれば引退する年齢ではない。私は30歳がマラソン初優勝だった。だが、彼の場合は若い時からトップレベルで活躍してきて、体よりも気持ちのほうで、頑張り尽くした感覚が強いのだろう。見事なマラソン人生だった。

 スポンサーの力を借りて渡米し、トップ選手と練習を積んだ。さらに、ケニアへ武者修行にも出た。誰よりも負けず嫌いで孤独に強い大迫ならではの道を歩んできた。スタミナ偏重だった日本のマラソン界に、スピードと走りの質を磨く練習の必要を示した意味も大きい。最後のレースとなる東京五輪で、日本のマラソンが再びメダルに届くための足掛かりを残してくれた。そんな「6位」だったと思う。

 中村匠吾(富士通)は62位で、服部勇馬(トヨタ自動車)はフラフラになりながら73位で走り終えた。2019年9月に行われた選考レース・マラソン・グランド・チャンピオンシップ(MGC)では、勝負強さと暑さへの適性を示した2人だが、大会の延期で2年間もの時が流れた。調整が難しかったのだろうし、大迫との力関係も変化してしまった。MGCは開催地も東京だったし、今大会の選考レースとして、一体何だったのかという思いも湧く。

暑さの中で別次元の走りで優勝したキプチョゲ(中央)
暑さの中で別次元の走りで優勝したキプチョゲ(中央)

 2大会連続金メダルのキプチョゲは2時間8分38秒と、この暑さの中で冬のマラソンみたいなタイムを出した。30キロ以降、5キロを14分台で走るところまでペースを上げた。アフリカ勢の中でも、別次元の走りを見せてくれた。

 なお、男子のスタート時刻は変更されず、予定通り午前7時に号砲が鳴った。前夜になって1時間前倒しされた女子のレースでは、睡眠時間が1時間少なくなった選手もいたはずだ。これでは暑さが軽減されたとしても、健康に良くない。急な変更が男子でも繰り返されることはなかったが、女子を前倒しした理由も、男子を前倒ししない理由も、説明不足だと感じる。マラソンの運営として、あるまじき事態が、東京五輪で起きてしまったことは残念でならない。

解説者プロフィル

武井隆次 (たけい・りゅうじ)1971年生まれ。東京都出身。早稲田大時代に箱根駅伝で4度区間賞に輝き、うち3度が区間新記録だった。エスビー食品時代は2002年のびわ湖毎日マラソンに2時間8分35秒で優勝。その年の釜山アジア大会で3位に入った。現役引退後はエスビー食品のコーチ、監督を歴任。現在は小学生を指導している。

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2270464 0 東京オリンピック2020速報 2021/08/08 11:14:00 2021/08/08 13:37:02 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210808-OYT1I50067-T.jpg?type=thumbnail
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