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IOCと都市 目的にズレ[総括Tokyo2020+]<3>

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 ぼったくり男爵――。

 今年5月、米紙ワシントン・ポストのコラムニストが使った国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長のあだ名は、日本国内の報道やSNSで瞬く間に広がった。「商業主義に染まり、利益のため開催国を食い物にする」などの典型的な批判にイメージが重なったのだろう。

 新型コロナウイルスの感染が拡大したことで拍車がかかり、反発は五輪そのものにも及んだ。「開催を強行するのは誰の金もうけのためなのか」と。

 五輪・IOC批判の根底には、ほぼ必ず商業主義がある。開催でIOCが得る収入は、2014年ソチ・16年リオ大会を含む4年間で57億ドル(約6280億円)と 莫大ばくだい だ。だがこの収入は、4年間の国際スポーツ界を支える命綱でもある。

 IOCの収入の90%は、五輪競技を担う国際競技連盟、選手を派遣する各国五輪委などに再分配される。国際トライアスロン連合の大塚真一郎副会長は、その分配金が「国際競技連盟の予算の主軸になっている」と語る。大会組織委にも支払うほか、世界反ドーピング機関の年間予算の半分など競技の公平性を保つ仕組みも支える。途上国や難民選手の支援にも使われる。

 コスト面で批判の矢面に立つことが少ないパラリンピック。それは五輪施設の使用など、IOCとの合意が開催を支えるからだ。国際パラリンピック委員会のアンドルー・パーソンズ会長は「IOCの協力は、パラリンピック運動に多大な恩恵をもたらした」と語る。

 IOCに対する「 傲慢ごうまん 」との指摘は、IOCが開催都市とは別の目的を持つ組織であることに起因する。

 IOCにとって大切なのは五輪運動の継続だ。IOCから見れば東京は、大会を開くための多くのパートナーの一つ。開催国が抱える問題への対応でも、IOCの目的のためになるかを戦略的に判断しがちだ。内部からも「会社組織に近くなってしまった」(最長老委員のディック・パウンド氏)との評が漏れる。

 一介の民間組織が、五輪を通じて開催国に大きな影響を及ぼす。そのギャップが、IOCへの反感の本質かもしれない。五輪好きとされてきた日本人の心がなぜ離れたのかを、IOCにはぜひ見つめてほしい。

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2352262 0 東京オリンピック 2021/09/09 05:00:00 2021/09/09 05:00:00
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