上へ上へ 高み極める…スポーツクライミング「第32回リードジャパンカップ」

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 2020年東京五輪の追加競技、スポーツクライミングで、到達した高度を競うリードの男女日本一を決定する「第32回リードジャパンカップ」が3月2~3日、千葉県の印西市松山下公園総合体育館で行われる。昨年まで行われていたリード日本選手権と統合。女子の野口啓代あきよ(TEAM au)、男子は藤井こころ(同)、楢崎智亜ともあ(同)、明智めいち(同)の兄弟らトップクライマーがリードの腕を競い合う。(運動部・上田真央)

 

五輪見据え「強く」…野口啓代(TEAM au)

アジア選手権の女子リードで2位に入った野口啓代(昨年11月、鳥取県倉吉市で)
アジア選手権の女子リードで2位に入った野口啓代(昨年11月、鳥取県倉吉市で)

 得意のボルダリングだけではない。スポーツクライミングの女王、野口はリード日本選手権で過去6度の優勝を誇る。昨年こそ若手に頂点を奪われたが、今大会さらに強くなって戻ってくる。

 ボルダリングでは2008年のワールドカップ(W杯)仏モントーバン大会での初優勝を手始めに、W杯年間優勝4度、世界選手権では昨年自己最高の2位となった。ボルダリングに比重を置いてきたが、昨年はリードの重要性を痛感した。世界選手権で3種目による複合を経験し、ある課題が見えたからだ。

 「スピードのようにフライングしたり、途中でミスをして順位が入れ替わるような種目ではない。リードは強ければ強いほど有利に立てる。確実にいい順位がとれる選手になりたい」

 昨年の世界選手権の複合。スピードで6位と出遅れ、ボルダリング、リードでも挽回できず4位に終わった。不確定要素が大きい2種目に比べて、リードは実力差が出やすい。東京五輪でより高い位置まで登るためには、伸びしろを感じたリードで実力を伸ばす必要性を実感したのだ。

 それからリードを集中強化。昨年10月のリードW杯アモイ(中国)大会では3位、11月のアジア選手権リードでは2位に入った。今年1月のオーストリア合宿でも重点的に練習。8月に東京・八王子で行われる世界選手権に向け、「リードのトレーニングも積めている」と自信をのぞかせる。

 一方、野口に挑むのは勢いのある若手クライマーたち。昨年の日本選手権で野口を抑え優勝した15歳の森秋彩あい(茨城・手代木中)のほか、昨年の世界選手権リードで4位に入った21歳の小武芽生めい(エスエスケイフーズ)、3種目でハイレベルな姿を見せる16歳の伊藤ふたば(TEAM au)。さらに、今年ボルダリングとスピードの2種目でジャパンカップを制した野中生萌みほう(XFLAG)は苦手種目で決勝進出を目指す。

 

真の万能選手「まだ」…藤井 (こころ) (TEAM au)

アジア選手権男子リードで優勝した藤井快(昨年11月)
アジア選手権男子リードで優勝した藤井快(昨年11月)

 藤井は日本選手権では過去2大会連続9位に終わったが、今大会は大きな期待がかかる。

 静岡県出身の26歳は、トップ選手がプロとして活動する中、ボルダリングジムに勤務する「サラリーマンクライマー」として知られている。大会がない時は、ルートセッティングをしたり、ジムの受け付けを引き受けたりと仕事を請け負う。

 これまでは、昨年までジャパンカップで3連覇したボルダリングを中心に活動してきた。その登りをライバルの楢崎智亜がこう称賛する。「基本的な動きが超すごい」。派手さはないが、難しい課題をいとも簡単そうに淡々と登るのが藤井のスタイルだ。

 「オールラウンダー」と周囲から呼ばれるが、本人は満足していない。「まだ突出したものが作れていない。全て底上げができたら、本当のオールラウンダーになれる」と言い切る。

 藤井もまた、世界選手権など主要大会で複合を経験し、リードの重要性を再認識した一人だ。「リードはポイントを稼ぐためにすごく大事な種目。(2種目を競技した)最後に自信をもってトライできれば最後まで頑張れるし、メダルを取る大きな要因になる」。昨秋の世界選手権後は、リードにも力を入れており、今大会でもひと味違った姿を見せてくれそうだ。

 

若手男子 上り調子

 楢崎明智(TEAM au)

アジア選手権、男子複合で優勝した楢崎明智のリード(昨年11月)
アジア選手権、男子複合で優勝した楢崎明智のリード(昨年11月)

 男子も若手が続々と登場する。楢崎智亜の弟、19歳の楢崎明智めいちは昨年8月、世界ユース選手権のリード、ボルダリングで頂点に立つと、直後の世界選手権ではリードで4位に入った。11月のアジア選手権ではボルダリングと複合を制し、今季はさらなる飛躍が期待される。

 今年8月の世界選手権へ上昇気流に乗りたいところだが、気がかりは昨年痛めた右手首の状態。リード練習に十分に取り組めていないが、得意種目で復調した姿を見せたい。

 原田海(日新火災)

世界選手権の複合でリードに挑む原田海(昨年9月、オーストリア・インスブルックで)
世界選手権の複合でリードに挑む原田海(昨年9月、オーストリア・インスブルックで)

 世界選手権でブレイクしたといえば、昨年、ボルダリング世界王者に輝いた19歳の原田海だ。複合決勝のリードで、欧州勢2人に次ぐ3番手につけ複合で日本勢最高の4位に入った。持ち味の高い保持力に加え、筋力アップして今季に臨んでいる。だが、今年1月のボルダリングジャパンカップ直前に体調を崩し、スタートダッシュに失敗。今大会で、5月に予定されている複合のジャパンカップ、その後の世界選手権に向け弾みをつけたい。

 

「12メートル以上」を「6分以内」

 国際スポーツクライミング連盟の公式大会で行われる種目は四つある。リード、ボルダリング、スピード、3種目の総合成績で争う2020年東京五輪でも行われる複合だ。リードは持久力、ボルダリングは対応力、スピードは瞬発力など3種目それぞれ異なった能力が試される。複合のみの開催となる東京五輪では、それらの総合的な能力が問われることとなる。

 リードは高さ12メートル以上の壁に、最大60手程度の突起物(ホールド)が設置されるルートを使う。選手はロープを途中の支点に掛けながら安全確保して進む。制限時間の6分以内に、どの高さまで登れたかを競う。各ホールドには高度を示す番号が付けられ、先のホールドに選手が触れた場合、「数字+(プラス)」と表示される。筋肉に疲れをためない効率的な登りをする技術力も求められる。

 ボルダリングは高さ5メートル以下の壁に設置された複数の課題に挑み、いくつ完登できたかを競う種目。定められたスタート地点からゴールのトップホールドをつかみ、姿勢を安定させると完登となる。途中ポイント「ゾーン」獲得数と完登数で順位を決める。「体を使ったパズル」とも呼ばれ、頭脳を使う戦略性や体のコントロール力など多くの能力が求められる。

 スピードは、高さ15メートルの壁に設置された規定のコースを登るタイムを競う。決勝トーナメントは1対1でタイムの速い方が勝ち進む方式で行われ、わずかなミスが命取りとなる。

467680 1 企画・特集 2019/03/01 05:00:00 2019/03/01 05:00:00 女子リードで2位だった野口啓代(10日、鳥取県立倉吉体育文化会館で)=吉野拓也撮影2018年11月10日撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190228-OYT8I50055-T.jpg?type=thumbnail

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