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北京オリンピックの公式マスコットは「ビンドゥンドゥン」、パラリンピックは「シュエロンロン」。見た目から、透明なカバーに覆われたパンダと赤い灯籠のキャラクターであることはわかっても、何を表現しているのか判然としない人も多いだろう。

中国メディアが、2019年9月のお披露目の後、全世界にデザイン案を公募していた大会組織委員会でのデザイン決定と命名の舞台裏を伝えている。

まず、ビンドゥンドゥンは、漢字で
この原案をもとに、氷糖葫芦の意匠に動物のキャラクターを組み合わせる検討が行われた。最終的に中国が世界に誇るパンダに絞られたが、あまりに「ありがち」だ。
2008年の北京夏季五輪の5体の公式マスコット「福娃(フーワー)」の一つもパンダだった。それでも、氷砂糖をイメージした透明なカバーをまとうパンダは、宇宙服姿の飛行士にも似て「未来感、科学技術のイメージをもたらす」との意見があり、最終的に採用に至った。

ならば、日本人にはなじみが薄い文字を並べる名前はどうか。氷糖葫芦は、北京などの方言で「糖兒儿(タンドゥル)」とも呼ばれる。検討の場では、この言葉は音の響きなどに「親しみやすさ、活発さ、かわいらしさ」があるとの意見が支持を集めたそうだ。
そして、シュエロンロンは、漢字で書くと雪容融。原案を発案したのは、吉林省の吉林芸術学院に所属していた女子学生だった。学生の故郷の黒竜江省嘉蔭県では、春節(旧正月)になると、町のいたるところに赤い灯籠を飾り付ける習慣がある。そして今年の春節は、五輪の開幕日2月4日の3日前に始まる。五輪・パラリンピックの機会に伝統文化を世界と共有したいという意義が重視されたようだ。

命名に際しては、「氷」の五輪のキャラクターの対となる「雪」の字を採用。さらに、灯籠のやわらかい明かりは、人を「ぽかぽかした」(暖融融と書き、ヌアンロンロンと発音する)気持ちにさせる。加えて「包容と交流」を体現する趣旨から、発音がまったく同じ「容(ロン)」と「融(ロン)」の2文字を重ねたという。

北京市内では、繁華街や交差点などに公式マスコットをかたどったオブジェが飾られており、親子連れが記念撮影をするなど人気だ。ただ、知名度の高さは2008年北京夏季オリンピックの公式マスコットに遠く及ばず、大会終了までにどれだけPRできるかが課題となりそうだ。
北京市の女性(55)は「特にパンダを採用しているのが中国らしくてかわいい。でも、08年の時ほど街中で見かけないね」と話していた。
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