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宇野の刃 鋼の強さ…名古屋の企業製 溶接せず削り出し「最高の滑りを」

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 北京五輪は4日夜の開会式を前に、フィギュアスケート団体が始まった。男子ショートプログラムに出場した宇野昌磨選手(24)の足元を支えるのは、名古屋市で特殊鋼加工を手がける企業のブレード(刃)。鋼の塊から削り出した逸品で、4回転ジャンプの衝撃に耐える強度を持つ。(矢野彰)

山一ハガネのブレードをつけた靴で練習した宇野選手(3日、北京・首都体育館で)=若杉和希撮影
山一ハガネのブレードをつけた靴で練習した宇野選手(3日、北京・首都体育館で)=若杉和希撮影

 宇野選手と、ペアの木原龍一(29)、三浦 璃来りく (20)両選手のスケート靴のブレードを作るのは「山一ハガネ」(従業員約200人)。本業は自動車部品の金型や機械部品の製造で、1000分の1ミリ単位で金属の精密加工ができる。

 2013年冬、寺西基治社長(61)の知人の紹介で、10年バンクーバー五輪に出場した小塚崇彦さん(32)が来社した。履き込んだスケート靴を見せてくれたが、ブレードが曲がり、ひどく傷ついていた。

 欧米製の靴の多くは、靴底の部品と刃が溶接されている。フィギュア界で4回転ジャンプが主流になると、溶接部分が着氷の衝撃で曲がったり、折れたりすることが目立つようになった。1年間に5足程度、靴をつぶした選手もいたという。

自社製のブレードを手に、選手の活躍に期待を寄せる寺西社長(左)(2日、名古屋市緑区で)
自社製のブレードを手に、選手の活躍に期待を寄せる寺西社長(左)(2日、名古屋市緑区で)

 「うちの技術を使えば、強いブレードができる」。寺西社長の指示で取り組んだのは、溶接を使わず、強度に優れた鋼からブレードを削り出す方法。鋼は、含まれる炭素の量や熱の加え方で、硬さやしなやかさが変わる。10種類以上の素材を試して最適な鋼を選んだ。

 約10キロの鋼の塊を約30工程に分けて加工。表面が荒れないよう工具を選びながら、約280グラムの刃を削り出した。試作品を小塚さんらに使ってもらい、ブレードのカーブを数十回調整して18年4月に完成させた。

 同社の開発担当、石川貴規さん(44)は「ゆがまないように硬い鋼を薄く削るのは至難の業だが、当社が培ってきた技術が生きた」と胸を張る。

 選手たちには「ジャンプしやすいし、氷をとらえるエッジも摩耗しにくい」と好評だ。2シーズン使っても壊れない耐久性も喜ばれている。浅田真央さん(31)が使ったこともあるという。

 宇野選手は2年ほど前から、同社のブレードを試している。準優勝して日本代表に内定した昨年12月の全日本選手権や、今月3日の北京五輪の練習でも使った。

 同社のブレードが、五輪に登場するのは初めて。寺西社長は「我々の技術が、選手の最高の滑りを引き出せればうれしい。日本の『ものづくり』を世界に知ってもらう機会になれば」と期待している。

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